7月13日、石垣島野底の海岸で午後1時半頃から白い雄花が水面を風に乗って走る姿が見られた。雪だるまのような形をした3ミリに満たない極小さな雄花が南側のウミショウブが群生する伊土名から野底のリーフ内の海に放たれる。それは風に乗って最初はポツリポツリ現れ、干潮時刻の14時8分には行き着いた雄花が数多く野底の海岸に吹き溜まって、波打ち際に白い塊ができていた。この日、日曜でもあり、国内最北限のウミショウブの開花を見ようと、多くの家族つれが集まって海を見つめて、不思議な現象を堪能していた。
ウミショウブは、トチカガミ科のウミショウブ属に分類される海草の一種。インド洋から西太平洋の熱帯から亜熱帯に分布。日本では西表島と石垣島でのみ分布し、北限となっており、環境省レッドリストでは絶滅危惧種Ⅱ類に分類される。干潮時に雌花が花開き、そのタイミングに雄花が放出され、花に雄花が行き着いた後、満潮に潮が満ちると雌花は水没。その際に自然に花びらが閉じて、受粉が成立する。この開花現象が初夏から秋にかけての大潮で繰り返される。昨年は6月、今年は7月の大潮の最大干潮の日に、大量の開花が行われた。潮の引き具合が少ない干潮では、雌花が開かず、雄花の放出はほぼない。