石垣島のマングローブ域ではミナミコメツキガニがサワサワと穴から這い出して、土の中の有機物を土と一緒に口に含んでより分けて、食べかすを丸めてはき出しているのが見られた。この有機物は、落ち葉や生物の死骸などがバクテリアに分解され粒になって土に付着しており、これを餌にしているのが、マングローブ域のシオマネキなどの小さなカニたちだ。この有機物をデトライタスと呼び、団子状の小さな丸い土がマングローブ域の干潮の砂地に見られるのは、それのこと。そして、この無数のデトライタスの周辺にミナミコメツキガニが穴を掘って潜んでいる。彼らは干潟に集まる野鳥や干潟の住人の大きなカニに食べられてしまう。彼らを食べるカニは、そのまた大きなカニの餌にもなる。マングローブの腐食した葉や生物の死骸をバクテリアが分解してくれて、その分解した粒が土に付着したものを吸収して、土地を浄化するミナミコメツキガニは、大型のカニや野鳥の餌になり、食物連鎖の頂点のカンムリワシまでつながっていく。土から獲物化する食物連鎖としては大切な要になっているので、マングローブ域の大切な住人と言うことになる。