あの世の正月

あの世の正月

2月25日は旧暦の1月16日。この日、八重山で盛んに行われるのは16日祭(ジューロクニチ)で、宮古島や沖縄本島の一部でも見られる伝統行事。お墓で一族が揃って、先祖と共に会食する。一年の無病息災を祖先にお願いして、お墓の前は料理が供えられ、遠方にいる家族もこの日のために休みを取って、石垣島へ戻ってくる。この日は、前日から慌ただしく、料理のための材料を用意する主婦が、スーパーをめぐって食材を買い込む。親戚が回ってきた時に、振る舞える料理の量を確保しなくてはいけないからだ。そして、当日までに仕込みをきめ。当日は、昼食が豪華版となる。16日祭当日は仕事休みも多く、半日休みというケースが多い。市役所などは、半日を午前組と午後組で分けて対応している。学校も休みで、子供たちはうれしい一日。ごちそうが食べられて、学校が休み。家族団らんを墓の前で、皆と一緒に先祖の話を肴に、語らえる時間があるのは、貴重以上のなにものでもない。あの世とつながる時間があると考えると、不思議な日でもある。この日の夜に16夜の月を見て、旧盆行事のイタシキバラを思い出すと、ふと頭をよぎるものがあった。これはかつて旧暦の1月13日から公式の正月行事をしたあとに、一段落して自分の家々で行事をした首里王府の官僚達の行事からきているのではないか。根拠のない全くの妄想なのだが、どうだろう。あの世からまた一年という月日、時間をくれた感謝の気持ちを、旧暦の13日、14日、15日に、あの世へ向かって夜に感謝する公式行事が、昔はあったのではないか。そして16日にようや休みが取れて・・・これは完全に戯言だが・・・気になる。

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