8月9日、農業が盛んな石垣島白保村のムラプールが開催された。白保公民館が主催し、今年のムラの豊作に感謝し、来夏世の豊穣を祈願するもの。多原御嶽、波照間御嶽、真謝御嶽、嘉手苅御嶽の4つの御嶽のヤーニンジュや、白保住民、白保青年会、白保小学校、白保中学校、白保婦人会、協和会など白保の村を支える様々な組織あげての盛大な祭典で、平日の月曜日に当たるも、大勢の市民および郷友会、観光客があつまって会場のカザリパカ御嶽が暑く燃えた。古くから行われているミルクの行列に、戦後になって地域活性をねらって編み出された稲の一生。そして各組織の行列に、五穀の引き渡し式、大綱引きと展開する。この稲の一生の行列の評判が、白保の豊年祭の活気に結びついている。三線・ドラ・太鼓などの楽器はほとんどが生演奏で、稲が米となる播種から収穫表現が躍りで構成され、内容も実に多彩で白保集落の白保気質の真骨頂を示す。5つの実行委員会が趣向を凝らして、伝統的と思えるくらいツボにはまった面白みを感じさせてくれる。豊年祭でこれだけ笑いがとれるものは、まずない。かくして午後5時からはじまったムラプールは午後8時10分に全日程の終結宣言となる。このあと旗頭は、各御嶽の家元(ヤーモト)へ向かい、各家の庭で旗頭が奉納される。真謝井(マジャンガー)を掘り当てたとされる水元の家でも旗頭は奉納される。神へ奉納する料理をつくる役の家や、公民館役員宅へ向かい、続々旗頭が奉納された。ムラプールの旗頭から、それを支える御嶽関係者や公民館への感謝の行動で豊年祭を収束させるのだった。暑くほてった旗頭が、感謝の旗頭奉納でクールダウン。集落内ではこのときの鉦と銅鑼の音が、各家庭にいながらにして身近に聞くことが出来る。この遠くで静かに鳴り響く旗頭奉納の鉦の音は、古から存在するある種の教訓を示していないか。