いつもと違うぞ ダウンバースト

いつもと違うぞ ダウンバースト

 「いつものこと。サトウキビが倒れただけ」そう畑の主が応える。そう、キビが倒れた光景は、台風が来れば見飽きている。あまり聞かないこのダウンバーストなる気象用語は、1974年に日本人が発見した気象現象。下降噴流ともいう。UFO着陸でもしたかに、突如畑の局所を荒らされた痕跡を残す。ただ、台風に遭遇していないサトウキビが倒れただけであればいいが、このダウンバーストは、実に危険な現象。予兆が有れば、航空機や船舶には早急に対処の必要がある。アメリカでは航空機の運航が多いために、このダウンバースト現象で、航空機墜落事故を1975年,1982年,1985年の3度起こしている。日本でもダウンバースト現象のそばで起こるウインドシア現象が花巻空港で起こり、航空機が着陸に失敗している。となると対応策は、ダウンバーストや竜巻などの突然の気象変動に有効なドップラーレーダーの導入だ。かくして、これら航空機事故および2005年の羽越本線脱線事故などから全国の気象用レーダーのドップラーレーダー化が進められ、2009年12月に石垣島於茂登岳のレーダーもドップラー化されている。要注意な気象現象で、そう目前にできないダウンバースト現象であれば、このキビ倒伏現象は、よくよく見ておく必要がある光景といえる。7月24日に石垣島の南部、前勢岳南の平田原北から大米プラントの東の先の広範囲のサトウキビ畑が、激しく荒らされ倒された状態にあるのが発見された。石垣島地方気象台によるとダウンバースト現象が起こった可能性があるとのこと。いつものことではないが、いつものことと変わりない。こんな現象は、八重山にはもっとたくさんあるかもしれない。

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