ひとまず来年3月31日の県立図書館八重山分館の廃止はなくなりました。毎年恒例となっている移動図書館の開催です。10月11日午前10時半から大原中学校で県立図書館八重山分館による移動図書館がおこなわれ、300冊の書籍が体育館に並べられました。台風の襲来で延期を余儀なくされた西表島東部での移動図書館は、10月上旬のこの日、なんとか開催が出来ましたが、明日は古見小学校で運動会、そして来週は大原中学校文化祭と、地域の行事が続くことから、石垣島への買い出しに出かける家族も多く、移動図書館に集まる人の数は今ひとつでした。しかし、この日午前中集まった25名の親子は、楽しみにした年一回の移動図書館で、好きな絵本を物色。また、工作教室も行われて、紙パックを用いてつくる籠づくりに挑戦。親子で楽しいひとときを過ごしていました。午後からは加えて20人が集まり、毎年のにぎわいを復活。35人140冊の貸し出しが行われていました。昨年11月に、県立図書館八重山分館を来年3月で廃止すると県教育庁が発表して、地元が反発。県教育庁は地元への理解を求めていくと、県議会でも答えるものの、取り組みは見えず、時間はむなしく過ぎていくばかり。10月6日には八重山分館の建物の老朽化の度合いを調べるために、県教育庁は2009年度予算に耐久度調査の費用を予算化したことが県紙で明らかになった。来年3月31日に廃止となる予定も、見送りになった。しかし、県教育庁の廃止方針は依然として変わらない模様。しかし、調査結果をもとに老朽化をいうならわかるが、老朽化で廃止を唱えた後に調査をするというのは、順序が逆。これでは廃止方針の理由堅めにしか見えない。地元と県の綱引きの様相を見せてきた。この日の移動図書館の参加者に声を聞くと、県紙に載った記事を上げて、県教育庁が八重山分館の貸出率の低さを廃館の理由にするのなら、県立図書館本館の貸出率も低い状況なら本館も廃止のはず。なぜ先島の図書館だけを廃館にするのか理解に苦しむとの声。また、大がかりな県立博物館・美術館の建設をして、小さな図書館分館の廃止は、おかしいという声など、疑問の声があがっていました。西表島には、やまねこ文庫という私設の文庫があり、本屋のない島の環境の中で同文庫は20年間孤軍奮闘して維持しています。同文庫立ち上げの際は同八重山分館から支援を受けて、つながりも深いものがあるとのこと。現在、本館から貸し出しサービスはあるものの、それを受ける際は、紙にある本のリストを見せられるだけで、どんな本であるかわからない状態で借りる本を決める形。とても利用は出来ないとのこと。結局は八重山分館から実際に本を見て、借りているとのこと。やまねこ文庫の竹盛由紀子さんは、島に来て島の実情を把握してほしいと、述べていました。さて、今回の県立図書館八重山分館問題は、県の姿勢はどこかうやむや。まるで合理化策のごり押しを、末端で持久戦的に進めている感じがします。果たして教育行政として、こんな姿勢はあり得るのか。子ども達の教育環境こそ、豊かさの象徴であるべきで、美術館などの豪華な構築物に惹かれて大事なものを見失ってはいないか。分館的機能存続の工夫にこそ、真の英知があるように思うのだが。