3月16日のカンムリワシ会議では「カンムリワシ交通事故誘発要因と防止対策」について、カンムリワシリサーチ会長の佐野清貴さんから報告があり、事故多発地点と無事故地点の比較調査、カニ類横断調査、カンムリワシの出現率調査、交通事故データ分析がおこなわれました。なかでも、カンムリワシが交通事故に遭う交通事故多発地帯が、車にとって追い越しをかけやすい場所であることが判明。曲がり道が続いたあとに来る、対向車が見やすい直線道路でスピードを出すエリアで事故があることを報告。カンムリワシが交通事故に遭う必然性もつ場所として、これらの場所に何らかの対応策が求められることが述べられていました。また、カンムリワシリサーチの宮城国太郎さんからは、カンムリワシの重要基礎マップ作成の結果が報告され、カンムリワシにとって生息しやすい場所を5段階で表記。最適な営巣、隠れ場所、狩り場が揃う植生もつ37ヘクタールが、カンムリワシにとって最低の広さとして、この3拍子そろう最適な段階の場所「1Aプラス」ランクが、石垣島全体で57%で、ほとんど北部地区にあることが報告されていました。このほか、幼鳥や成鳥が発見されているものの、なぜか現在いる成鳥の縄張りを将来受け継ぐ若鳥の存在が見あたらず、幼鳥がその後どうなっているかが不明であることに触れられていました。現在、元気な成鳥が、後世に世代交代期を迎えた場合、取って代わる若鳥がどこにいるのか。毎年生まれてくる幼鳥も、どこへいってしまうのか。まだ謎も多いとのこと。このほか、小浜島や竹富島にもカンムリワシが移動していることが発表されました。繁殖行動の場所ではないものの、引き続き調査がおこなわれていく模様です。このほか、次期の平成20年度生息調査について説明があり、3年間続けられるこの事業の締めくくりの年度を迎えたことを述べ、引き続き交通事故誘発要因解明と防止対策、重要生息地マップ作成、野外復帰モニタリング調査、カンムリワシ週間事業が行われ、21年度の事業をどのように進めるかが検討されることが確認されていました。このあと会議は遺伝子解析、台湾のカンムリワシについての話もおこなわれ、質疑の時間も熱心な質問や意見が出されていました。このほか、石垣市教育委員会からは、多良間島にもカンムリワシが現れた事例について問いかけがあり、カンムリワシリサーチは、事例の存在があることを、述べていました。一昨年までこの会議を外部者に委託する形で進めていましたが、カンムリワシに関して島で調査・研究するグループ「カンムリワシリサーチ」の存在もあり、昨年12月から地元民間人で会議の進行を実施。また調査もカンムリワシに関心の高い地元民間人が実施して、スタート。地元の機関が集まるなか、手作りの会議を通じて、カンムリワシの調査を進める形が取られています。いわば、カンムリワシ調査に関して、地元の調査団体の胎動でもあります。佐野清貴氏という民間で綿密に調査する人が出たことがきっかけになって、うまれた調査グループ。イリオモテヤマネコやセマルはコガメ、キシノウエトカゲ、ジュゴンなどに関しても、島で調査するネットワークグループが発生すれば、新たにわかることが増えてきます。島の環境の変化などから、生物の実態も報告されてくれば、島の自然に何が起きているかも、具体的に見えてきます。島の自然が魅力の八重山観光です。調査グループが創出して欲しい。