五穀豊穣と子孫繁栄を祈願する竹富島最大の行事、種子取祭。今年は、11月15、16日に世持御嶽での奉納芸能が盛大に行われた。約600年の歴史があるといわれており、1977年に国の重要無形民族文化財の指定を受けている。1日目は、いんのた(西集落)とあいのた(東集落)の玻座間の芸能を奉納、2日目は仲筋集落が芸能を奉納する。
奉納芸能の2日間がとても盛大だが、竹富島の種子取祭は9日間ある。1日目はトゥルッキといい、配役を神前で誓約する日。その初日でする11月9日、いんのた(西集落)の舞踊部は、日曜日なので中高生も合わせて、午前中から稽古が始まっていた。いんのた会館におじゃますると、地謡の唄に合わせ、女性たちが踊っていた。
少し緊張感が漂う演目中。でも曲が終わると、先輩の指導も和やか。今年西集落が任されているのは9演目。ひとり3から4つくらいを務める。学校や仕事が終わった夜に、テープに録音された音で練習することが多く、地謡に合わせられる貴重な稽古。夏休み前から、出演する演目の決定している学生たち。数ヶ月間練習を重ね、1週間後に本番を迎える。
踊りを指導していたのは、西の舞踊を継承する、副師匠の上勢頭次子さん。師匠はお母さんの同子さんで、最近では次子さんが現場をみることが多くなってきたという。「若いんだからもっと足あげて!(笑)」ととても賑やかな声が響く。次子さんは、小学4年生で種子取の初舞台を踏んでいる。八重高卒業後、島を離れた期間が10年ほどあったが、その間も種子取の度に帰ってきて、出れなかったのは1回のみだという。
みんなでお弁当を食べて、コーヒーをのみながら少し休憩をして、練習再開。稽古の最後に、師匠の上勢頭同子さんは「苦労を乗り越えて、来週の寅の日はいい日が迎えられると思います。あと1週間で神様に披露です。最後まで頑張りましょう」と締めくくった。一旦解散して、また20時に集合。トゥルッキの儀式を迎える。
15日、奉納芸能の会場となる世持御嶽では、朝6時、弥勒起こしから種子取祭7日目が始まった。たくさんの人が見学に訪れ、10時前から庭の芸能が始まり、舞台の芸能と続いた。東集落、そして各舞踊研究所合わせて、35もの演目が披露され、舞台は陽が沈んだあと19時頃まで行われた。その後は、各集落ごとの一行が家々をまわるユークイ(世乞い)が夜通し朝まで行われ、2日目の奉納芸能へと続いた。