雨を予知する一つに雷がある。八重山では「朝雷(あさかんなりぃ)え大雨(うふあーみ)」(朝雷は大雨)〈四カ字〉、「朝雷(あさかんなる)ぬ鳴ったら隣(とぅなるん)げ出(ん)でぃるな」(朝雷が鳴れば隣へも行くな)〈小浜島〉などと、悪天候への注意を促した。
また、桑の木の下に落雷はないとの俗信から、全国には「桑原、桑原」という雷よけの呪文が流布。沖縄本島では「桑木(くわき)ぬ下(しちゃ)でーびる」(桑の下でございます)、鳩間島では「桑木(くわーぎー)ぬ下(した)どー」(桑の木の下だよー)といいながら、子供達は雷を恐れた。
一方、雷光が稲を結実させるということも広く知られる。これが「稲妻」の語源説の根拠となっている。科学的にも、落雷で大気中の窒素が田畑に固着し、稲をはじめとする作物は、それを栄養とすることが認められている。
小浜島では干ばつの時、御嶽で雨乞歌をうたった後、雷石(かんどぅーらいしぃ)を担いで大岳に登り、それを頂より転がして降雨を祈ったという。