壁(くび)ぬ耳風言葉(みんかじくとぅば)

 80年代、関西のコミッバンド「おかげ様ブラザーズ」は、「壁に耳ありクロードチアリ」と歌って笑いを誘った。その原典は周知の「壁に耳あり障子に目あり」。壁に耳がある如く物をいう時よく気をつけよ、との戒め。
 石垣島や竹富島では「家(やー)ぬ壁(くべー)や耳(みん)」、与那国島では「家(だ)の廻(みんぐ)いにゃ耳(みん)たふあんでぃ思(うむ)りょ」(家の廻りには耳があると思え)という。竹富では、特定の時間帯に注意を促し、「夜家(ゆるやー)ぬ壁(くび)や耳(みん)てぃどぅある」ともいう。
 沖縄本島には「壁ぬ物聞ちゃん風ぬ物言ゆん」(壁が物を聞く風が物を言う)という言い方もあるが、西表島祖納には「壁(くび)ぬ耳(みん)風(かじ)言葉(くとぅば)」といった簡潔な表現がある。風が言葉を運ぶように話が多くの人に知られてしまうのだという。
秘密がどうのこうのと難しい世の中。星勲氏は「秘密を持たず、戸を開け放ち、涼風に身をふかせながら、楽しく浮世を渡った方がよい」といっている。これも一理ある。

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