名蔵アンパルの砂浜、干潟、マングローブ林には海水の満ち引きの影響を大きく受けるこれらの特殊な環境に適応した固有の昆虫がたくさん生息しています。
これから3回にわたり代表的な昆虫をご紹介しますので、アンパルの中を散策されるときに注意して観察されることをお勧めします。
ヒルギカネタタキ
マングローブ林に生息し、名前の由来となったチンチンチンという澄んだ声(正確には羽根をすり合わせて出す音)で鳴きます。何度か脱皮をしながら成長しますが、成虫(親)が見られるのは7~10月で、8月頃が最も多いようです。アンパルでは特にヤエヤマヒルギの樹上に多く見られます。奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島に棲息が確認されており、台湾にも分布しています。(写真1)
マングローブスズ
比較的早く潮が引くマングローブ林の林床(根もとの土の部分)に生息しており、干潮になるのを待って活発に活動を始めます。体長は6mm前後で、メスの産卵管を含めても10mm程度の小さなバッタの仲間で、たくさんの個体が群れているのが観察できます。アンパルでは干潮時のマングローブ林を歩くと比較的簡単に見つかります。我が国では石垣島、西表島、沖縄本島、奄美大島に分布しますが、海外では東南アジア各地に広く見られます。(写真2)
ウミアメンボ
海水の上で活動する昆虫で、体はビロード状に短い体毛で覆われているため、水を弾くようになっています。成虫の体長は5mm内外で、幼生期(子供の時期)は黒いが、成長すると灰白色となり目立つようになります。翅は退化して無く、アンパルでは干潮時にマングローブ林の間にできる水路に群れているものを観察することができます。本州および琉球列島に広く分布します。(写真3)