西表島大原診療所の昼ごはん

西表島大原診療所の昼ごはん
西表島大原診療所の昼ごはん
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西表島大原診療所の昼ごはん
西表島大原診療所の昼ごはん
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西表島大原診療所の昼ごはん
西表島大原診療所の昼ごはん
西表島大原診療所の昼ごはん
西表島大原診療所の昼ごはん

 昭和36年に開設された大原診療所。昭和52年に一時閉鎖されたが、平成4年に再開し今年で21年目を迎えた。医師、看護師、事務員がそれぞれ一人の、計3人で日々の診察を行っている。今年4月に新しく赴任した医師の笠芳紀先生は福岡県出身。西表に来る前は沖縄本島の南風原にある南部医療センターに勤務しており、センターでは離島の診療に携わる医師を育成するためのプログラム「プライマリケアコース」で経験を積み、西表島にやってきた。この日は4月5日。笠先生が西表に来て間もない大原診療所の一日におじゃました。
 診療所の朝は、まず3人で掃除をすることから始まる。一見当たり前のようだが、スタッフが少ないため清掃などの雑務もすべて自分たちでしなければならないそうだ。「看護以外のことのほうが、やることが多いくらいです」と笑いながら話すのは看護師の屋良つぐみさん。屋良さんは大原出身で、診療所が再開された年から働いているベテラン看護師で、「患者さんの基礎情報をほぼ全て把握してくれているので、とても助かります」と笠先生はいう。そんな屋良さんだが、今年4月末で21年間働いた大原診療所を退職することになった。「今まで一番大変だったのは、医師不在時に心筋梗塞の患者さんが運ばれてきたこと。医師の指示を仰ぐために八重山病院に電話しながらも、サポートしてくれる人を集めなくてはならず、その頃は携帯電話もなかったので大変でした」と当時を振り返る。今では医師が不在になることは滅多にないというが、実際に働く医師の生活はどのようなものなのか、お昼ごはんを食べながら笠先生に伺った。
 昼休みになるとスタッフはそれぞれ自宅に帰るが、笠先生は赴任したばかりなので今は診療所の近くにある食堂満八で食べることが多いそうだ。お昼休憩は12時から13時まで。診察時間以外でも医師専用の携帯電話を所持しており、24時間常に持ち歩かなければならないという。休日も基本的には島内待機。会議などで島を離れる場合には、八重山病院から代わりの医師に来てもらう。西表での赴任期間は特に定められておらず、「島にいる間に一度はイリオモテヤマネコには会いたいですね」と話し、また三線を習いながら地域行事にも関わっていきたいという。
「沖縄本島の病院などでは、患者さんとは診察の時にしか会いません。しかし西表ではスーパーや道端でも普通に会うんですよ。今後は、患者さんがどんな暮らしをしていて、ご飯は何が好きなのか、仕事は何をしているのかという、生活背景まで考えたトータルケアをしてみたい。そこが離島ならではの強みですからね」とこれからの展望を話した。

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