屋良部半島に位置し、豊かな自然環境に恵まれた崎枝小中学校。現在小学生11人、中学生2人が通っているこの学校では、2009年度から八重山漁協観賞魚部会サンゴ養殖研究班とタイアップし、サンゴの観察や養殖実験を行っている。環境省によるサンゴの保全や、八重山漁協やダイビング業者らによるオニヒトデの駆除など、八重山のサンゴを復活させようという取り組みが活発的に行われている中、サンゴを守っていくには子どもたちへの教育も大切だと考えた崎枝小中学校では、総合学習カリキュラムの一環としてサンゴ学習をスタートさせた。
観察・養殖実験を行っているサンゴはコエダミドリイシサンゴ。サンゴは勝手に採取することはもちろん、無許可で養殖することも認められておらず、同校では、県知事からサンゴ採取の許可を得ている八重山漁協の協力のもとで行っている。全国的にみても実際に教室で観察学習を行っている学校は珍しいという。
小学3年からサンゴ学習に取り組んでいる石垣州麻くん(中2)は、「サンゴ学習を通して、サンゴがなくなると魚がいなくなるということがわかった。魚がいなくなると海の資源がなくなってしまうので、サンゴを守ることが八重山の海を守ることにつながると知りました」と
話す。実際に教室でサンゴを観察することで、サンゴの減少が自分の身近で起きている問題だと実感することができたようだ。
理科の桃原勝先生は、「学習の一環でサンゴを養殖して海に戻すというのは、実際にはとても難しいんです。自然界にあるものを人間の手で維持することがどれだけ大変か、子どもたちに気づいてもらえれば」と話した。
崎枝小中学校では、サンゴ学習のほか、刺し網体験やモズク採りなど地域の自然環境を活かした体験学習も行っている。放課後は地域の方をアドバイザーに招き放課後子ども教室を開き、地域の歴史調べや方言の勉強、旗頭を持つ練習をするなど、地域の方々との交流も盛んだ。清水ちか子校長先生は、「本校は自然も豊富ですが、なにより地域の方々にとても恵まれているんです。子どもたち全員がきょうだいのように仲良く学んでいる素晴らしい学校です」と話した。