安良岳(366m)の東側連山の尾根筋で遭遇したアカテツ(アカテツ科)の巨木です。平久保牧場を東に見下ろす尾根筋です。胸高の幹回り3メートル50センチ、樹高約10メートルの堂々の巨木です。尾根筋には、今は廃牧となった平久保牧場の境界を示す有刺鉄線が南北に延び、場所によってはさびが進行して断線しています。
常緑の高木・アカテツは、ときには低木状となります。主に海岸沿いに多く自生しますが、同場所は海岸と無縁の山中です。トカラ列島の宝島・沖縄全域・小笠原・中国南部・熱帯アジアや太平洋諸島に広く分布します。
さて、アカテツの和名に関して、明治の初期まで小笠原に面白い経過があったようです。それは、該木を樹皮の色に基づいてブラック(黒)・アイロン(鉄)・ウッド(木)のクロテツとして記録したようです。そして、フトモモ科のアデクをレッド(赤)・アイロン(鉄)・ウッド(木)のアカテツと呼んでいたようです。その後、それぞれの和名は、単に外見からの誤認と判明したようです。そして、これまで呼び親しんだクロテツをアカテツに改称したとのことですが、一方、アカテツ=アデクを別の呼び名にしたとの記載は見当たりません。
ところで、私の実家の登野城・村内のキィツィパカ御嶽の境内には、平成9年発刊の『石垣市 緑の戸籍簿』(巨樹・巨木・古木等調査報告書)に掲載された巨木のアカテツが根を張っています。当時は、付近の子供たちの格好の遊び場でした。休日ごとに集合して、木登りやチンダンアーセー、マルバチシャの実落としなど、終日、様々な遊びに興じました。今にして思えば、「聖域でよくもマー」と遅ればせの一人苦笑です。
今回は、平久保半島の安良岳に連なる尾根筋で遭遇したアカテツの巨木でした。