世界はやいまを中心に回るよ、喝!(9)

ミーニシ吹き荒れ、ゆっくりと冬に向かうこの季節。各地で秋の伝統行事も粛々と執り行われ、観光客も最後のにぎわいだろうか…。
 この時期になると、最寄の上原航路の欠航率が高くなり嫌でも島の反対側にある大原港に向かうことが多くなる。途中に高那海岸を通るときに、海岸漂着ゴミの多さに目を奪われます。
 私は環境省の海岸漂着ゴミ関連のお仕事を手伝って5年ほど経過します。数ヶ月に一回の定点調査、回収・分類調査などで漂着量やゴミの発信地などを記録していきます。それもあって、海岸のゴミの量は気になってしょうがないのです。自家用車からならまだしも船会社の送迎バスで通ると、いつもより目線が高いのでゴミの量に圧倒されます。北風が吹く時期は軽いゴミは道路まで飛ばされ、歩道にも散乱しているのです。これって観光客が見てどう感じているんだろう…といつも思うのです。
 竹富町の島々は夏がメインの観光シーズン、冬は団体客が多いので普通のマリン業者や私たちのような製造や小売関連は暇で仕方ないこれからの時期。皆バイトしたり出稼ぎに行ったりして食いつなぐのです。
 毎年流れ着く膨大な量の漂着ゴミの回収をボランティアに頼っていては全くのいたちごっこ、追いつきません。回収だけならまだしも、竹富町は回収はできても運搬・処理費用が高いため処理ができないという困った問題もあります。
 これを観光地の雇用としてなんとか確立できないものか? 何年も悩んでいることではあるのですが。例えば、オーストラリアの世界遺産グレートバリアリーフの海岸線はシルバーやホームレスを雇用して美化作業をしていると現地在住の知人から聞いたことがあります。北風吹き荒れるこの時期に集中して漂着するゴミを、シーズンオフの人々の雇用に繋げないものか。1日出勤しても、半日はボランティア扱いで半日は有給等のシステムを確立できないものなのか? 竹富町、そして八重山の島々はもう少し「観光地」としての身だしなみを真剣に考えたほうがいい時期だと考えます。
 観光でもファーストインプレッションが大切です。初めて西表島に来て、観光バスからあの汚い浜が見えたらきっと嫌な思いをする人、いるに違いありません。新空港オープンまで5ヶ月切りました。色々意識改革が必要な時期ではないでしょうか。

崎枝 百合香

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