「沖縄の文化を横須賀に広げ、相互交流を図りたい」と考えた沖縄出身の人が5年前に横須賀で始めたイベントが、次第に大きな輪になってきた。初めは海岸で、それから横須賀のもと映画館だったライブハウスを会場にして、続けてきた「いーちゃ・イチャフェスティバル」。
沖縄返還40周年を迎えた今年、より多くの人に参加してもらえるような場所を考えた。横須賀市の観光名所「三笠公園」。会場横の海には戦艦三笠が展示されている。その向こうにはかつての要塞があった「猿島」と米海軍横須賀基地が見える。
海を正面にしたステージをゴーヤステージと名付け、沖縄出身のミュージシャンのライブ、八重山舞踊と民謡など、沖縄返還40年を振り返る年にふさわしい演目が披露された。
協賛してくれた店も沖縄と横須賀の特色がよく出ていた。横須賀海軍カレー、猿島わかめうどん…の向かいには沖縄のぜんざい、ソーキそば、ソーメンチャンプルー…と、色々の味を楽しむことができた。泡盛のコーナーでは、沖縄からも泡盛の蔵元に参加してもらい、その自慢の泡盛の美味しい飲み方を学ぶことができた。ただ、あいにくの台風15号の影響で4つの蔵元のうち2つが航空機欠航のために来られなくなってしまったのは、とても残念なことだった。
この会を開催するために5年もの間実直に続けてくれたのが、神山長明さん。八重山の詩人、伊波南哲さんの孫である。穏やかで温かな人柄が多くの人脈を増やしていった。開催までの準備から開催終了までに動いたボランティアスタッフは総勢50人。訪れた入場者数約1万人。長明さんの奥さんが企画した子供コーナーには、横須賀の米軍基地からも多くの家族が来てくれた。人種や国境の壁がない子どもたちの様子をみているうちに、このフェスティバルを通して、互いの文化を大切にし、多くの人と交流を図れる人に育って欲しいと思った。