3月12日(月)、大濱信泉記念館で、講演会「ケーラシ テードゥンムニユ 使イオーラ ~竹富方言についての講話とワークショップ~」を石垣竹富郷友会青年部主催で開催しました。
まずは竹富方言を使ってみよう。若い世代が方言を使うキッカケを作ろう。また、竹富方言を学ぶ方法を考えてみよう。そして、方言を使うことで、竹富の先輩や親島との繋がり、親島への想いを深めていこう。というテーマを持っていました。
第1部は前新透先生の『竹富方言辞典』の編著者3名の先生に講演をしていただきました。
沖縄県立芸術大学付属研究所の波照間永吉先生の講演は「竹富方言の特徴と竹富方言辞典のできるまで」 。竹富島の方言は石垣や琉球の影響や、様々な変化の要素が絡み合って難しい。
だが、ちゃんと法則に従って変化している。これから勉強するにあたって、その法則、特徴を掴むことが、竹富方言を理解する上で重要。「手伝い」という言葉が竹富方言の「テーネ」に変化する法則を例にあげていただき、法則などないように思えて、実はあることに驚きました。
髙嶺方祐先生の講演は「竹富方言の発音について、狂言の唱え方の違いについて」。「ア」の発音には、広めの母音「a」と、狭めの曖昧母音「a」の区別が大事。また、発音しない小さい「ヒツ」「フツ」がある。「ヒツ」「フツ」は、「言うつもりで言わない音」と言葉で説明すると難しいですが、実際に聞くと分かりました。
入里照男先生の講演は「竹富方言辞典を活用して、方言を話してみよう」 。必ず、辞典を使う前に凡例を読む。例文を繰り返し読む。また、逆引き索引を使って、身近な日本語を方言にしてみる。この勉強方法なら、すぐに始めることができるなと思いました。
第2部はワークショップを行い、入里先生、髙嶺先生の方言の発音をみんなで復唱しました。
入里先生には竹富方言辞典の巻末資料の中から、挨拶・会話例文を読み上げていただきました。挨拶を覚えると応用ができるので、これを練習することが大事だと思いました。
髙嶺先生には『竹富島誌 歌謡・芸能篇』(上勢頭亨)の中から、4種類の狂言・鍛冶工狂言、始番狂言、蛸捕狂言、芋掘狂言を唱えていただきました。若者、年寄、男役、女役、例狂言、お祝いの狂言などの違いによって、唱え方も異なっていました。これらの狂言は方言で記された台本があるので、この台詞を方言辞典で調べて、自分なりに解釈をする、という勉強方法があるなと思いました。
また、青年部で寸劇「年会費徴収狂言」をしました。片言の方言ですが、楽しんで方言を使うことができました。
方言は言葉だから、使わないと話せるようにならない、と入里先生がおっしゃっいました。
驚いたのは、入里先生は10年くらい前まで、方言を話すことができなかったという話です。
竹富方言辞典の制作で前新透先生宅へ通い〝方言を使う〟ようになって、それから徐々に話せるようになったそうです。
前新透先生は方言を集め続けて20年経った時に、髙嶺先生や入里先生たち次の世代に編集を託されました。それから更に8年後に竹富方言辞典が完成するわけですが、髙嶺先生や入里先生たちの心を動かしたのは、前新先生の竹富島への想いや態度、志だろうと思います。次は、青年部や若い世代が、その志も受け継いでいく番だと思いました。
最後に宮良稔青年部長が「島に生まれ育っていない2世3世が島の言葉を学び、使うための機会作りをしていきたい。そして続けていきたい。今後も先生方のお力をお借りしたい」と言いました。すると、髙嶺先生が「定期的な勉強会を開こう」と、おっしゃって下さいました。