石垣島を包み込むように鮮やかな青が表紙を彩る。
その石垣島で江戸末期、琉球国・中国・薩摩・アメリカ・イギリスが絡む国際的な事件が起こったことを知る人はほとんどいない。そして当時の琉球国の影の部分や人頭税と飢餓と疫病に苦しむ島民の姿のことも。
大英図書館やイギリス公文書館での史料収集・研究で前世紀の国際問題を解明し、広く伝えたいと書いた前著『石垣島唐人墓事件』から、さらに中国との関係を中心に書き加えたという本著。
著者は、この本を書く理由を、「普天間」に象徴されるように今も昔も変わらない沖縄の宿命を考えることでもある、としている。
「唐人墓」の背景には何があるのだろう。歴史の真相を知りたい、伝えたいという著者の熱い思いを感じる1冊である。