アンパルの環境調査

アンパルの環境調査

河川の水質、赤土流出防止、外来種による食害の実態を見る。

 6月4日(土)「全国一斉水辺の環境調査」(国土交通省所管)が実施されました。石垣島のおもな河川をいくつかのグループが分担してCOD(化学的酸素要求量)のパックテストと水辺の生き物などを観察しました。「アンパルの自然を守る会」も今年で3回目の調査参加となりました。年1回だけの調査のため確かなことは言えませんが大きな変化はありませんでした。調査地点は6ヶ所でだいたいCOD4という数値でした。
 4月にアンパルとその水系8ヶ所の泥を採取して「水銀」などの重金属の有無を愛媛大学の磯部教授に分析していただきました。今回の分析では重金属は検出されませんでした。しかし5年前にWWFが行ったアンパル水系のノコギリガザミ、ボラの生態調査では水銀が検出されています。この水銀の発生源が何であるかは未だ不明のままですから生態調査を再度実施してみないと今回の調査だけで「安全」だと言いきれません。
 今年は2ヶ所の畑を見せてもらいました。一つはサトウキビの「株出し栽培」で赤土流出を抑える取り組をしている畑です。一般的には春に収穫を終えたサトウキビ畑はその後何度もすき起こしをします。秋に植え付けをするまで裸地状態が続くためスコールや台風など大雨のたびに表土が流出します。「株出し栽培」をすれば裸地期間がないため表土が流出しにくい利点があります。赤土によるサンゴ礁へのダメージを減らそうと「石西礁湖再生協議会」が民間で集めた募金をもとに補助金を出して「株出し栽培」を増やす取り組みをしています。今回訪れたサトウキビ畑もその一つでした。他方そのごく近くで大型機械を使って畑をすき起こしている畑もありました。
 2つ目に外来種の動物による生態系のかく乱の代表例といえるキジ、クジャクの食害に悩むパイン農家さんを訪問しました。キジ、クジャクは、パインが生長する前の幼い柔らかい実を丸ごと食べてしまっていました。この畑ではキジ、クジャクの食害にあって今期の収穫がゼロに近い状態でした。キジはキジ撃ちを楽しむために狩猟家が持ち込んだものだそうです。石垣島で大繁殖して農家に多大な迷惑をかける存在になっているだけでなくキジ、クジャクは外来種であり石垣島の生態系をかく乱する要因になっています。キジ、クジャク以外にもグリーンイグアナ、オオヒキガエルなども人が持ち込んだ外来種で困りものになっています。

アンパル水系のCOD 6月5日調査
調査地点(COD)
1 浦田原みねや工房東(3)
3 ウガドーガーラ(4)
4 浦田原排水路浦田原橋(4)
5 神田原排水路(4)
6 名蔵川支流の白水川 市水道ポンプ場(4)
7 名蔵川支流の白水川 トウレ橋(4)
8 名蔵川支流のブネラ川 白水橋(4)
9 名蔵川ピイナダ橋、名蔵通し溝(取水関)の下(6)

「アンパルの自然を守る会」の活動記録
◆6月3日 役員会開催
「名蔵大橋と小橋」の間の海岸林の植生調査の方法について普天間明日香さんを講師に招き勉強した。調査の前に石垣島の海岸林の状況を見て歩くことによって海岸林の完成イメージを持つ必要があるということで「海岸林ツアー」を行うことを決めた。この事業は「アンパル保全協議会」で取り組む必要があることも確認した。
◆6月4日
全国一斉水辺の環境調査のアンパル水系の水質調査と環境調査を実施した。参加人数16人。
◆6月27日
広報紙「アンパルヌミダガーマ通信」第10号を発行した。掲載記事は名蔵小中学校のアンパル探検、アンパル周辺の清掃活動、キバウミニナの調査など。

アンパルの自然を守る会事務局長 山崎 雅毅

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