「砂嘴の海岸林の再生」=アンパルの課題1

 名蔵川から運ばれた土砂や海の砂によって約150年前に現在の砂嘴(砂州)が形成されました。アンパルは名蔵川から運ばれる土砂によって陸地化、泥地化が進行している典型的なマングローブ湿地として知られています。湿地のマングローブ林とは別に、名蔵小橋と大橋の間の砂嘴は海岸林となっており八重山の在来種の木々が育っています。戦後植樹され群を抜いた樹高のある外来種のモクマオウが目立つ存在でした。ところが最近の大型台風によって頂部がことごとく折損し次々と枯れ死をしています。モクマオウは八重山のような密林化し林内で日照の確保できない環境では幼木が育たず子孫を残せません。このため砂嘴の海岸林全体が貧弱化しみすぼらしくなっています。同じく海外から持ち込まれたギンネムが繁茂し八重山の在来種の成長を妨げています。モクマオウやギンネムを除去して本来の八重山在来種による海岸林の再生が必要です。「アンパルの自然を守る会」では現在の海岸林の植生調査を実施して、海岸林の再生に取り組みたいと考えています。しかし砂嘴が石垣島製糖さんの社有地であること国立公園であることなど法的にクリアーしなければならないこともあります。幸い石垣島製糖さんは砂嘴の「国有地化」に前向きであります。今後マングローブ林の買収をしてきた環境省等と交渉を行い「国有地化」を進められれば良いと考えています。
 海岸林には不法投棄ゴミが後絶たず悩みの種になっています。国立公園でありラムサール条約にも登録されている大切な場所であることが理解されていない悲しい現実があります。名蔵小中学校の生徒が長年にわたって清掃活動を続けていますが不法投棄ゴミが減る傾向はありません。車で来て海岸林の奥にゴミを放り込んでいくのですから片付けるのも一苦労です。啓蒙活動だけでなく海岸林に車は入れないように規制することも必要と考えています。

アンパルの自然を守る会・事務局長 山崎 雅毅

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