字桴海・米原の琉球石灰岩の谷間に、亭々とそびえるオオクサボク(オシロイバナ科)です。別名ウドノキとも言います。胸高の幹周り6メートル、樹高約15メートルの堂々の巨木です。
見事な巨木ですが、別名にあるように、ことわざ「ウドの大木」の由来の木です。腐りやすく、建築材には適さないことからきているようです。
米原のヤエヤマヤシ群落は、国指定の天然記念物です。そして、多くの観光客が訪れる石垣島の名所です。しかし、一歩コースを外れると、一帯は亜熱帯原生林が生い茂るジャングルです。行く手を阻むクロツグ(ヤシ科)の群落やギランイヌビワ(クワ科)、ムクイヌビワ(同)、ガジュマル(同)等々の巨樹・巨木が自生する山ろくです。コースをさらに西側に外れると、昼なお薄暗い琉球石灰岩の谷間にも多くの巨樹・巨木が観察できます。
昨年の秋でした。いつもの癖で「この奥はどうなっているのか」と薄暗いジャングルを進みます。突然目の前に現れたのが写真の巨木です。付近に同様の巨木が5、6本も根を下ろし、群落を形成しています。
突然の遭遇に、一瞬、マダガスカルのバオバブの木を連想させました。これまでのアウトドアで遭遇したことのない見事なオオクサボクです。建築材としての不適は別にして、威風堂々とそびえる彼らへの「ウドの大木」のことわざが、少し失礼のような気がした今回の巨樹・巨木との遭遇でした。
その後の鑑定で、自然交配による雑種のオオクサボクと判明しました。