バガー島の今と未来 最終回

未来は、私達が自分自身の選択によって決める事です(2)

 続きまして、松谷明彦氏の本、『「人口減少経済」の新しい公式』を紹介させていただきます。元は2004年に出版された堅表紙の本は、2009年に文庫版で改訂版が出されました。著者は人口減少・高齢化の下での日本社会や経済の環境変化を問うて、明治維新や戦後の社会経済制度の変革の規模の根本的な社会構造を変革する必要があると述べます。変革の詳細は次の通りでしょう。
1 昇給・昇進制度が年功序列型から実力主義・成果主義への変革。
2 現在の主の発展途上国型から先進国の付加価値開発型への日本経済の変革。
3 国際化への変革。
 ついに、変革しないと遅かれ早かれ日本経済の競争力を維持できなくなりますし、国の財政が崩壊し罹る高い可能性を警告します。
 松谷氏に同意するにせよしないにせよ、私達は人口減少や社会の高齢化という課題だけでなく、多くの問題に対応しています。しかし、私は、松谷氏と違って、資本主義的競争や国際化から解決を期待しません。逆に、経済が人間的な規模に戻らないと経済的苦難と人間の悲劇を招くと確信します。幸いなことに、経済を資本主義型から人間主体型へ変更する必要を認める人が増えています。必要な知識と知恵も見つかります。
 よく知られている「ゐーまーる」(現在は主に「ゆいまーる」と呼ばれる)地域取引き制度は沖縄の伝統です。2008年11月4日に琉球新報が載せた記事によると、「ゆい」の部分は日本語の「結い(田植え等で互いに力を貸し合うこと)」から来ていて、「まーる(順番)」の部分が本来のうちなぁぐちだといえます。現代の複雑な社会構造を考えると、「ゐーまーる」は実行に移しにくいですが、現代社会に合わせたヨーロッパ出身の「地域取引制度」に一番近いと思えます。
「地域取引制度(地域通貨制度)」とは物や労働や工芸や知的・心的仕事などの取引のためのお金に基づいている経済制度です。現代はインターネット時代ですので、詳しい情報をパソコンで得る事ができます。「八重山地域通貨制度振興会」を検索すれば、動画、芝居、種類など大量の情報資源が見つけられます。
 人間主体型の経済について検索すれば、下記の団体・運動・概念も見つかります。
 この連載で詳細に説明できませんが、設備があれば、ぜひインターネットで検索してください。
*「社会的企業(ソーシャル・ビジネス)」
(沖縄県中小企業家同友会・八重山支部が1月28日に「社会的企業」についての講演会を行いました)。
*「信用協同組合(信用金庫)」
*「有機農業運動」
*「適正な報酬での取引」
(英語‥「Fair Trade」)
*「極少額融資制度」
(英語‥「Microcredit」)

島の未来を考える島民会議 大工 裕裡

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