今期もキビ刈りが始まりました。キビ刈り援農隊として参加する若者は、12月中旬から西表にやって来ます。同時に、私が初めて八重山に来て六年目を迎えました。
私自身、最初に島に来たきっかけが知り合いからの勧めで、援農隊の一員としてでした。当初は、沖縄に行けるということで、遊び半分の気持ちでした。とりあえず三週間滞在して、キビ刈りという農作業を体験してみようと、島にやって来ました。一月だというのに日差しが強く、ここで働くのか…、そもそも、サトウキビを見たことさえないのに、これからどうなるのだろう、港に着いた途端に、不安になったことを覚えています。
翌日から畑で、鎌の使い方を習いながらキビ刈りをする生活が始まりました。斧で倒されたキビの山は背丈程大きく、それを一本一本、葉柄をかさいでいくのは容易な事ではないけれど、ジャングルの様に茂ったキビ畑が、少しずつ丸裸にされていく様を見ていると、人の手のたくましさに驚き、泥んこで汗びっしょりになりながら働くのは心地よく、そしてキビを上手に扱う農家の人は、まるで魔術師のようでした。農家に通うにつれ、お互い心の距離感が縮まり、さらに一緒に働く仲間にも恵まれ、瞬く間に予定していた三週間が過ぎ去り、気が付くと、キビ刈りの一シーズンが終わっていました。
キビを刈るという事は、いのちを奪う事であるけれど、私たちの人間の命を繋ぐ新たな「いのち」もその瞬間に生まれている。キビ畑を吹き抜ける緑の風の中で、そこに込められた多くの想いを受け止めながら、六年という歳月が過ぎてしまいました。
キビ刈り援農隊は、多くの可能性を秘めています。今期も皆様にお世話になりながら、多くの若者が、キビ畑に吹く風を感じてもらえればと思っています。