昭和31年に開削された荒川奥林道です。荒川橋の東から山奥に向かって延びる全長960メートルの林道です。いわゆる国指定の天然記念物・荒川のカンヒザクラ自生地を通過し、更に奥地へ延びる林道です。
開削から半世紀余が経過し、現在は既に林道としての役目を終えていますが、部分的に幅2メートルのしっかりとした林道が往時をとどめています。老朽化していますが、コンクリート製の橋板も2箇所に残っています。
琉球政府経済局の助成認可による同林道は、一帯が急しゅんな山林のため、林産物の搬出を容易にするための林道とのことです。利用面積40町歩、用材6400石を計画し、主にフクギ・シイ・カシ等の外に、薪炭を搬出する林道とのことです。
前述したように、既に役目を終えた同林道ですが、一帯の散策にはもってこいの林道です。思えば小学校5・6年生のころ、父に連れ立ってカンヒザクラを見に登った同林道でした。当時は、多くの人々がお花見を楽しんだ荒川のカンヒザクラでした。奈良・吉野山のサクラほどではありませんが、ふもとの県道から見上げると、山腹を彩るカンヒザクラは見事でした。しかし、今はその面影はありません。
話は戻ります。一帯の山々の散策にはなくてはならない同林道です。入山と同時に3合目まで続く心臓破りの急登には閉口ですが、毎回新しい出合いがある奥荒川です。2009年8月号掲載の「ウラジロの大群落」も同林道を登り、荒川の奥地で遭遇しました。さて、次回はどのような出合があるのか今から楽しみです。