名蔵湾、アンパルは生き物たちの交差点(1)

風光明媚な石垣島には絶景ポイントがいくつもありますが、私のお薦めはバンナ岳の展望台から見る八重山諸島が見渡せる絶景と川平方面の名蔵湾、アンパルのマングローブ林八や於茂登岳も美しい景色で一見の価値ありです。ある時、ここから名蔵湾やアンパルを見ていた時に、於茂登岳に雲がかかり、山だけに雨が降っていました。その時、海で出来た雲が山にぶつかって雨を降らせていることで我々の生活用水が確保されていることを思いました。石垣島を支える於茂登岳の有り難さを感じました。於茂登岳に降った雨は、やがて集まって名蔵川となり、アンパルに注ぎ、やがて名蔵湾へと戻っていきます。このように水が循環しているのですが、展望台からは、ジオラマのようにこれを見ることが出来るのです。島を見る絶景ポイントの一つだと思います。
 このような「水の循環する道筋」には、これとクロスするようにアンパルや名蔵湾を中心とした「様々な生き物たちの道」もあります。いろいろな生き物たちが成長に従い沖合から名蔵干潟やアンパル湿地へ生きる場所を変えていく「道」や餌を求めて海と湾内を行ったり来たりする「餌探しの道」であったり、子孫を残すためにアンパルから海に向かう「産卵のための道」など、目には見えないけどアンパル湿地や名蔵湾干潟を「立体的な交差点」のように行き来しているのです。
 興味を持ってアンパル湿地や名蔵湾の干潟を観察してみましょう。ようく目を凝らすといろんな光景が見えてきます。思いもよらぬ楽しい光景が見れるかもしれませんよ。

アンパルの自然を守る会副会長 廣川潤

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