我が農園のニームトゥリー(インド栴檀)の高い枝に蜂が巣を作ったから、今年は強い台風は来ないだろう、と先号に書いたばかりだ。ところが9月19日、台風11号はほぼ直撃といっていい位に石垣島のすぐ南を通り過ぎ、キビをはじめとして農作物に多大の被害をもたらせた。
伊原間湾の南岸、崖上の我が農園には強風が一晩中吹き荒れ、アレカヤシが数本根っこから折れた。4メートルほどのヘゴが根元からあっけなく折れたのにも驚いた。これだけの強い暴風雨に数百本のバナナはたまらず殆どが倒れてしまった。台風前にかなりの葉っぱを切り落としたにも拘わらず。それでも収穫間近の太ったバナナは、葉っぱを全て落としてみたところ、あれだけの強風に見舞われたのに、台風明けの青空に十数本が実を空中に掲げて立っていた!
この頑張ったバナナ達は台風明けに東京の明治屋ストアさんにお願いし、納入させて頂いた。また実をつけたまま倒れた沢山のバナナを畑から回収し、キズや擦れの少ないものを有機作物専門に扱う会社へ引き取ってもらった。「台風サバイバルバナナ」として販売にご協力を!というお願いをしたのであったが、2社共に即座に応じて頂いたのである。
ともあれ、昨年は台風被害が無かったので、今年は春先から収穫が始まり、夏場には丸々と太った島バナナを継続的に東京に送ることが出来た。 バンチ(大房)のまま、という注文も入り大きな箱でホテルやレストランにも出荷。東京ではほとんど見ることのない、バンチでの島バナナは、お店の夏の飾りとしてもぴったりだったことであろう。夫婦ふたりのバナナ農園、この台風で出荷終了を余儀なくされたが、それでも農園始まって以来の豊作であった。盗難騒ぎもあった今季だが、島の強い太陽を浴び大きく葉を広げ、丸々と太ったバナナをたくさん収穫でき私達は大いに満足している。
ところで台風につきものの停電、今回は夜8時ごろから止まり翌日の夜になっても電気がつかない。沖縄電力社に連絡をして復旧を待ったのであるが、なかなか直らず、待ちつかれて2夜目の早寝をしたところ、真夜中午前1時頃に突如としてぱっと電灯が点り、深夜作業の係りの方から確認の電話まで頂いた。とてもありがたく、数日後島バナナと三尺バナナの大房を2本まるのまま沖縄電力八重山支店へお届けしてお礼を述べたのであった。