我が農園にバナナ泥棒が侵入し、頻々と盗られていることを新聞に投稿したところ、多くの方々から反応が寄せられた。ある日など、内科と耳鼻科を続けて受診したのだが、いずれもお医者さんが開口一番仰ったこと。「その後、バナナはどうですか?」。実のところ、その後も少しは盗られていた。辛口ユーモアの持ち主である農家の友人は言う。「新聞でバナナが有ることを世の中に宣伝したから、これからはホッカロー・ファームにはもっと泥棒が来るよ!」。
別の友人からも興奮した口調で電話があった。
「僕のも盗(ル・や)られた! 今日、収穫しようと思って畑に来たら、取ろうとしてた2房を持ってゆかれたっ!」。
バナナ盗人以上に更に悪いことが起こった。バナナ畑の奥の雑木林の中に布団を投げ捨てて行った大馬鹿者がいる。然も布団1枚ではなく2枚も、である。
私達夫婦にとっては、バナナを盗られる以上に大きなゴミを捨てていく輩がはるかに憎い。県道から何十メートルか農園に入り込んで捨てて行くのだから「確信犯」に違いなく、相当にタチが悪い。一体この島はいつの頃からこのように人間性を失った所業を平気で行なう人が増えたのだろうか? 正直、気が滅入る。
私の農園には、2本のニームトゥリー(インドセンダン、インド健康法アーユルヴェーダなどで利用される)が大きく育っているが、先日ふと見上げたところ、私の頭上はるかに高い枝に蜂が巣を作っていた。高い所に蜂が巣をつくる年は台風が来ない、と謂われる。 昨年、今年と石垣島直撃の台風がないので、今のところバナナは豊作だ。この号の出る頃はどうであろうか。
豊作は喜ばしいが、バナナ盗人や粗大ゴミを捨てていく輩のことを思うと、残暑が益々身にこたえる。