ずっと続いていた猛暑も一段落し、小雨が降る日曜日(8月8日)、神奈川県横須賀に「沖縄」がやって来た。
この地で沖縄料理と泡盛、沖縄の文化を伝えるダイニングバー「キジムナー」のオーナーを中心に、今年で第3回をむかえる「いーちゃイチャフェスティバル」が開催された。「いーちゃイチャフェスティバル」の意味は「いーちゃ」が「酔っ払い」という意味。「イチャ」は音がいいのでオーナーが付け加え、「楽しく飲んで仲良くしよう」という気持ちで名前をつけたそうだ。開場時刻の午後1時から、多くの来場者が入り、横須賀FM放送の生放送取材班もやって来た。沖縄料理、沖縄物産や沖縄県人会のお店もあり、開演前から沖縄の風が吹き渡っているような熱気だった。
沖縄と横須賀、遠く離れているが、共通点は基地の町。基地の大きさは全く比べものにならないが、複雑な思いは同じだ。「キジムナー」のオーナーは、「沖縄で生まれ、育ち、今現在は、ここ横須賀で店をやっています。横須賀で沖縄の心を伝えたい」とイベントを始めたわけを話してくれた。
今回の会場は、かつて映画館だった。スクリーンや映写室をそのまま残し、テーブル、椅子を備えて、食事をしながら、生演奏を聴くことができる施設になっている。この会場の特徴を活かし、出演者の曲目に合わせて沖縄や横須賀の映像が映し出された。スクリーンいっぱいに映し出された映像は、圧巻だった。とくにモノクロの沖縄、横須賀の写真は、40年ほど前のコザの町、通りには左右の反対の車の流れがあり、「劇団なじみ堂々公開中」というほっとなごませてくれる看板も見える。同じ頃の横須賀では、通称どぶいた通りと呼ばれた町並み。渋みのある歌声と共になつかしい映像を見ることができた。
八重山からの出演者は、石垣島出身の慶田盛大介さんとノーズウォーターズさん。背景には、八重山の風景と祭りの映像が映し出された。ゆったりした時が、八重山の光り輝くような景色と共に流れていくようだった。また、歌だけでなく、「竹富島のデイゴを救おう」募金の呼びかけもしていただいた。
出演者の心のこもった演奏は、会場の一人一人が沖縄にいるような錯覚を起こすほど、みんなを熱くしてくれた。この日の入場者は300人を超えた。午後9時、「沖縄in横須賀」の長い1日が終わった。