外来種と在来種 その2

自然と人為の拮抗

前号では「外来種」について書いた。それでは、島の在来種はどうなっているのだろう。
 おもと部落の桑江さんとはパイン畑でよくゆんたくをする。「昔はね、宮良川の土手に穴を開けて、ホンモノのカワセミ(アカショウビンではない)が沢山棲んでいたんだよ」、「宮良川には、淡水魚で立派な魚が沢山いたんだが、もう見えなくなったね。幻の魚になってしまったよ。大規模土地改良で赤土がどんどん川に流れ込むし、今の農業では除草剤など農薬が増えて魚も棲めなくなったんだろう」と嘆く。
 自家農園に「ホッカロー・ファーム(私が生れた竹富島でアカショウビンのことをホッカローと呼ぶ)」と名付けている私には、あの翡翠色のカワセミが石垣島にも嘗ては棲んでいたなんて、想像もつかないし、“立派な魚”が食卓に上らなくなったことに対しては「ガチマヤー心」が無念!と叫ぶのだ。
 白保の米盛勇さん夫妻からは「昔はどこにでもハルナが沢山あったがねー。最近は見えないねー」と聞かされた。ハルナは「畑のハルに菜っ葉のナ」だそうで、単にヌーナ「野の菜」とも呼ぶそうだ。即座に種子を所望しておいたが2年後わたしが忘れた頃に、「ハルナのタネがあったよー」と分けて頂いた。ハルナは一度植えればこぼれ種子から発芽するので、毎年10月後半から12月ごろまで食べられる。ちょうど葉野菜の少ない時期だから嬉しい。

山森 卓彦

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