竹富島がリゾート開発問題で揺れています。私は今までに2度、八重山諸島を訪問し、竹富島が誇る原風景に魅了された旅行者の一人です。私は一旅行者であり、今回のリゾート開発については直接関係のない立場にいるかもしれません。ですが外から見た客観的な視点で、このリゾート開発問題を考えてみたいと思います。リゾートは新聞などの報道にもあるとおり、3月31日に公民館で開催された総会において賛成派多数で着工がほぼ確実なものとなりました。けれど島にはリゾート開発に対する不安の声も、まだ多くあることを見過ごしてはいけないと思います。今回のリゾート計画で、一番あってはならないのは、島民の方々の信頼関係が崩れてしまうことではないでしょうか。
リゾートが建設されると、島のあり方は間違いなく変化します。人が増えることでお金は循環するかもしれませんが、水や電気といった生活エネルギー量も増加します。ゴミも増え、電線が空を遮り、蝶が舞うアイヤル浜への道は綺麗に舗装されてしまうでしょう。治安の悪化も懸念されます。
リゾート計画は一度着工してしまうと、もう今の状態には戻れません。変化することは時に進化と成り得ますが、同時に危険性もあることを忘れないでください。しかし当然のことながら、一番尊重すべきなのは、竹富島に住んでおられる島民の方々が、「今回のリゾートについてどう思われているか」ということです。リゾート計画の着工を望まれる方が多いのであれば、リゾート運営会社に振り回されることなく、どのように共存共栄していけるかを島内で真剣
に議論していくことが早急な課題なのだと思います。
竹富島の方々は昔から「うつぐみの精神」で話し合い、竹富島憲章を守り、助け合って今の素晴らしく美しい竹富島を育ててこられたと聞きました。日本にこのような美しい島があることを、旅行者としても大変うれしく思いますし、憧れの地でありました。民宿でのゆんたくや、煌く海へ続く道をゆったり散歩する時間などは都会が失ってしまった豊かな時間だったと今でも胸に残っています。
その文化を今もこれからも守るために、今こそ「うつぐみの精神」が問われているのだと思います。ぜひ全員で納得するまで話し合い、助け合って幸せな竹富島を未来の世代に残していっていただけたら。正しい情報を知って、様々な角度からこのリゾート開発について考えて、そのうえで後悔だけはしない道を、どうかみなさまで歩んでいっていただければと思います。