景観先進地区・名蔵獅子森

景観先進地区・名蔵獅子森

市街地から名蔵大橋を越え元名蔵への坂道を過ぎると右手に青空に映える赤瓦の寄せ棟造りの家々が豊かな緑の木々の中で美しい景観をみせています。獅子森(ししむい)地区です。この統一された、しかし画一的でない家並みは石垣島では唯一のもので、雑然とした市街地からみれば実に心安まる景観です。開発業者が区画、建物等を準備し、販売した××タウン風のものではありません。そこに土地を購入した住民が街並み建築協定に従って各自の住宅を建てているのです。一軒とて同一のデザインはありませんが、統一感があるのは住民がその協定を順守しているからです。自由の気風が我々よりはるかに強いヨーロッパの人たちが自分たちを規制する(しばる)ルールを受容し、結果的にあの美しい街並みを守っているのと同じことが獅子森地区でみられるのです。しかし残念ながら近年その協定に反する動きも一部あるそうです。当地区の山田守会長は「協定をもとに土地を購入しているので住民の意識は高い。協定は紳士協定、約束事なので、市がこれを担保してくれるので非常にありがたい。みんなが納得できる形で進めていきたい」と新聞記者に語っています。市都市建設課では住民と数回懇談会を開き、建築協定を踏襲した計画案を提示し、了承を得て、今後都市計画審議会などの手続きを経て、都市計画を決定し、六月までの施行を目指しています。これまで一階建て、二階建てとしていた建物の高さを、斜面になっている最後部は十メートル以下、残りは平屋建ての七メートル以下としました。住宅か住宅兼事務所・店舗しか建てられず、建築できない建物については別途条例で定めることになっています。景観先進地区である獅子森が法的に担保されることは、これに続く白保地区の景観地区指定にも大きな後押しとなるでしょう。今後の推移を期待を込めて見守っていきたいものです。

共同代表 江川 義久

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