製糖工場近くに甘い濃厚な香りが漂うキビ収穫の時期、トラックいっぱいに積荷されたサトウキビ。抜け落ちそうなキビを引っ張ろうと集落を徐行するトラックを追いかけた幼い頃の思い出がよみがえる。キビ刈りを体験させようと関東のお嬢さんを畑に案内したことがある。初めて見るさとうきびに「きびの皮を剥けば、うまい棒(お菓子)のように黒糖があると思っていた」と言う彼女の言葉に笑ってしまった。また、ある夫婦は…、「飛行機が欠航になって牛まつりに行けず、正直、与那国の印象とこの旅行がちょっとニガイものになっていました。終わってみれば、さとうきび刈りがこの旅の一番の思い出です。本当にざわわ~ざわわ~といっているさとうきび畑も、お兄さんが口笛を吹くと風が吹くことも、その風の心地良さも、そしてもちろん初めてかじったさとうきびは本当に甘くて美味しかったことも忘れられない思い出です」。気分転換にと連れて行ったキビ畑の感想を語ってくれました。ニガイ思い出を甘いHAPPYな思い出に変えてくれたさとうきび。
さとうきびつながりで、黒糖スウィーツ専門店「黒糖かなさ」を豊見城市に見つけました。お口も心も甘くしてくれるさとうきびから生まれたお菓子たち。「キビを作る人、黒糖にする人、お菓子にする人、そしてお買い求めいただいてくださるお客様。人と人とが笑顔で結(つな)がる店、それが黒糖かなさの願いです」とありました。その誕生にも、さとうきびと深くかかわった故郷の八重山の暮らしの中から出た想いが溢れています。とても温かな想いが伝わってくるお店です。作り手の農家のみなさん、うちなーの心、やいまの心をありがとう…。