新しい年を迎えると、八重山各地の古村では、伝統としてその年の干支生まれの老若男女を招き、「合同生年祝い」が地域挙げて盛大に催される。
多くが正月二日であったり、日をずらしたりで、晴れやかな装いで九十七歳を迎えられた最高齢のカジマヤーから、八十五歳、七十三歳(古希)、六十一歳(還暦)、四十九歳、三十七歳、二十五歳、十三歳が所定の席に居並ぶ。酒座であるので五年生児童が同席することは、ほとんどないが、地域によっては、参席を可とする地域もある。
あらたまる年の初めに巡ってきた十干十二支の高齢者の方々に敬意を表すると共に、福をあやかろうと企画演出され、引き継がれてきた濃密な地域の絆と言える。
他府県でこのような正月行事が行われていると言うことを仄聞することはない。沖縄とりわけ八重山地域での年頭の寿ぎと言える。白保、宮良、大浜、川平、西表島星立、祖納等の地区では、この日のために県内外から馳せ参じるのである。人生の節目に同年生や同級生が再会し、旧交を温めることは、誉れであり、十二年に一回巡ってくる慶びでもある。
還暦を迎えた我が世代は、四年担任の恩師宮良孫立先生を招いて、母校の校庭ににサキシマツツジとサガリバナの記念植樹をした。そして金一封を寄贈。八重山の良き美風が、今後とも継続されんことを祈願するものである。
因みに八重山一円での還暦合同祝賀会は、五月二十九日、ホテル日航で開催される。