美味しい

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至福の時間

お正月の楽しみは祖母の料理を沢山食べることです。祖母の料理はどれも丁寧で美味しい。ことに、おひたしについてくる酢みそとジューシーは絶品で、思い出すだけで唾が溢れます。運動会の前には、必ず祖母にジューシーのおにぎりをリクエストしたものです。ジューシーがなければ運動会は頑張れないという孫の願いに、祖母は嬉しそうに応えてくれました。
 このジューシー、お正月には私の主食となります。天ぷらやお刺身は少しだけ。なによりの御馳走のジューシー。ですが、さすがに三日三晩ジューシー三昧も飽きてきます。贅沢です。嬉しい悲鳴です。そんな時の最高の食べ物は、酢みその付いたほうれん草のおひたしです。ピーナッツのコクと甘さ、アクセントになるお酢のバランスが絶妙で、食す時にはわざと酢みそを余らせて、箸の先に酢みそをチョッとつけてちびちび嘗め堪能します。(ヤクルトをちょっとずつ吸いながら飲むあの感覚です)。
 祖母の料理がこんなに美味しいと感じるようになったのは、高校を卒業して沖縄本島に住み、外食の機会が増えてからだと思います。郷土料理の定食やじーまみ豆腐は、美味しい店でもそこそこな味に感じるのです。点数で言うと76点くらい。祖父にいたっては、あるお店で出されたじーまみ豆腐に文句を付けたそうです。「うちのじーまみはもっと美味しいんだぞ」。文句というより祖母の自慢です。
 お正月は他にも御馳走が食卓にたくさん並びます。それらを囲んで和気あいあいとする食事は幸せです。今では私以外の兄弟は県外・海外とそれぞれに生活の場を持ったので、昔のような賑やかさは減ったけれど、変わらずに私が皆の分舌鼓を打っています。
 最後に、ばあちゃんへ。私が料理を覚えるまで長生きして下さい。

大田 聖子

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