≪ハートの島の牛まつり≫
牛の島で有名な黒島は、青壮年が島へ戻り、畜産業を営みながら島おこしをしている。その象徴的なもののひとつに「牛まつり」がある。
「毎年2月に開催している牛まつりは、八重山の人たちの間にも定着して、当日には2000人を余る人たちが島にやってくる。牛1頭が当たる夢の抽選会、牛との綱引き、ロール転がし、地元の舞踊芸能など、黒島ならではのアイディアを出して、青壮年が中心となって島を挙げて取り組んでいます。島の将来を考えるには、牛まつりはいい機会です」と話すのは、「牛まつり」の実行委員長の松竹利之さん。
また、11月に大分で開かれた1999年度九州ブロック肉用牛経営発表会の組織活動部門で、宮喜正廣さんが発表し、黒島牛まつり実行委員会が最優秀賞に輝き、今年全国大会出場が決まった。
「今年2月27日の牛まつりも、昨年の10月から実行委員会を開き準備をしていますから、ぜひたくさんの方にきて欲しいです。そして元気な黒島を見てもらいたいです」
≪畜産に夢をかける、黒島に戻ってきた若者たち≫
ここ数年、黒島には20代の若者は5人。玉代勢元さん(23歳)、下地太さん(25歳)、島仲信八さん(27歳)、宮良哲倫さん(22歳)、仲嵩善幸さん(21歳)。「黒島を日本一の牛の産地にしたいと、みんなで集まると話をします。島の先輩たちがつくってくれた畜産の道を、今まで以上に発展させていきたい」と話すのは玉代勢元さん。青年たちは模索しながらも、確実に島の力となっている。
≪畜産王国・黒島から2人目の総理大臣賞≫
畜産低コスト経営で日本一を受賞した島仲治伸さん。島仲さんが黒島に戻って10年。雌牛15頭からスタートした畜産経営は現在75頭に増えた。
「子どものころから父親の牧場の手伝いをし、将来は自分の牧場で牛を飼ってみたいと思っていました。本土の学校で畜産を学び、石垣の牧場でも仕事をしました。そして、どうせやるなら島でと思って帰ってきました」と話す島仲さんは、島で第1号の人工授精師でもある。
「初めの頃は牧場経営もうまくいきませんでしたが、たくさんの方から指導を受け、また牛を飼う同年代の人たちと勉強をして少しずつ軌道にのっていきました。今回こんな素晴らしい賞をもらうことができましたが、やることはまだまだあります」
雌牛を100頭へ増やすこと、優良子牛を多く生産し所得を向上させること、将来は黒島牛というブランド牛をつくることなど、課題も夢も大きい。