12 なんくるない

 日本一早い海びらきも終え、ちらほらパイナップルも見かけるようになり、時折見える青空の色が濃くなってきたような気もする近頃。着実に夏に向かっています。昨年の今頃、いろんな人たちが挙げた新空港開港後の課題点は一年経った今もその多くが手を付けられていないままです。なぜこんなことが起こるのでしょうか。皆が心のどこかで「なんくるないさ」と思っているのが根本的な原因だと思います。誰かがやってくれる、自分の仕事ではない、そんな気持ちが地域力向上の妨げになっている気がしてなりません。そしてなんの改善もされないまま、また春休み、GW、夏のハイシーズンへと向かいます。
「まくとぅそーけー、なんくるないさ」。人として正しいこと(誠)をし、努力をしていればうまくいくという意味を持っています。後半のなんくるないだけが独り歩きし、どうにかなるさという楽観的な考えのみが象徴されてきました。大事なのは努力をすることのはずなのにそこはすっぽり抜け落ちている。うちなん人の楽観主義も一因ではあるのですが、地域を巻き込むリーダーの不在や情報の集約機関がないのも原因です。皆不思議に思っていても、「どこに、誰に」相談していいのかわからない。そして日々の業務に追われて月日だけが過ぎゆく。
 今年の海びらきがいい例でした。八重山の海びらきは3市町の観光協会の主催です。今年は西表島での開催、島での開催はずいぶん久しぶりです。西表島らしさを表現して内外へ向けてアピールする絶好の機会。そう思い関係者に1月中旬くらいから声をかけていたのですが、具体的内容が決まっていない、まだわからない、そして最終的には観光協会だけでやるとの対応で島の人たちを巻き込もうとする努力は皆無。島のいろんな事業所が関わりたい、お手伝いしたいって思っても観光協会の会員じゃないから声もかからない現実。たしかに主催は観光協会かもしれませんが、西表島の皆でもてなしたいと思っていた人は少なくありません。そんな人々が集まればきっと温かくて素敵なイベントができ上がったはずです。
 自分の輪、職場の中での輪、所属団体の輪、それらも大切ですが「輪と輪を繋いで大きな輪」にすることが今の八重山には必要なのではないかと感じます。いろんな人が知恵を出し合い、時には喧嘩もし、課題を解決していくそのプロセスが大切。「地域を良くしていきたい、島を良くしていきたい」そんな熱い思いの人たちが集まる機会、場所があればいいですね。旅先での出会いは旅行者にとって最重要ポイントです。地域力、人の魅力を切磋琢磨しながら高めていけたらと思います。それ以外に八重山の発展はありえません。

この記事をシェアする