2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』

2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』
2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』
2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』
2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』
2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』
2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』
2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』
2012八重山の産業まつり商業部会『バイヤーマッチング事業』

月12日、八重山の産業まつりで行われたバイヤーマッチング事業で、全国のバイヤーが集まり座談会が開かれた。八重山の産業の強みと弱み、産業まつりのこれからの仮題などについて意見が交わされた。

平田 バイヤーマッチング事業は商工会が3年前から始めて、昨年は実際に取り引きが始まるなど、徐々に実績が上がってきています。今回の座談会では、バイヤーのみなさまから産業まつりに対するアドバイスや業界の現状を教えていただき、来年以降に繋げていきたいと思っています。

-八重山の強みと弱みとは

池村 まず始めに、バイヤーのみなさまが考える八重山の強みと弱みを教えて下さい。

牧 私は八重山には山や海があり、素材の宝庫だという点が一番の強みだと思っています。しかし逆に素材を本土に上手く出せていないのが弱みだと思います。私は今工芸を担当しており、石垣の工芸で可能性があると思う素材がふたつあるのですが、ひとつは陶器です。陶器というのは人が毎日使うものなので、作り手の温もりを、消費者のライフスタイルに合わせた形で展開していけるのではないかと思っています。もうひとつは木工です。昨年も来て思ったのですが、木で作ってある器とかグラスのなにが足りないのかと考えてみると、逆に足りすぎて、こだわりすぎているんです。素材と技術がある中で、陶器や木工はもっとシンプルに出していけばいいのではないかと思います。
江森 私は強みと弱みは表裏一体だと思うんです。例えば地理的な部分で、羽田から飛行機で来ると国内で一番遠い場所のひとつは石垣島なのですが、それは強みであって弱みでもあるんです。例えば原発問題からすると、遠くで生産されるものが一番安心される。安心安全とよく言われますが、震災以降は安心と安全が離れてしまったんですよね。安全だよといくら言っても安心して頂けない消費者が残念ながら増えているので、そういう意味では八重山の商品は安全と安心がくっついている商品なんです。その反面遠いということは、情報や物流などのハンデがあるので、そこが弱みだと思っています。

山地 私は正直な感想を言えば、私がカバーする分野の出店が少なかったのが残念でした。ファッションの世界でも電力不足の問題があり、昨年の夏はかりゆしウェアーやアロハを着て出社してもいいという会社も出てきたのですが、それがなかなか一般的に広まっていかない。なぜかというと、かりゆしウェアーを沖縄で買っても、東京の山手線の中ではなかなか着れないんですよね。そういう意味では東京の一般の人が着れるような製品の開発をしているところが見たかったなと思いました。

青木 八重山の産業まつりの良い印象は、食品製造メーカーが多いということですね。地域で活躍している小規模事業者さんは沖縄本島にもたくさんいるのですが、地域を意識しながら商品開発をしているのは、どちらかというと女性の婦人グループが多い。それも50代や60代で、企業家というよりは自分の趣味の延長線上でやっている印象があります。
 また沖縄本島は、大きな企業は独自のルートを開拓したり、あるいは弊社のような問屋と組み、勝ち負けがはっきりしています。八重山は男女隔てなく30代や40代の方々もたくさんいる印象があり、将来的には若い力もありながら、地域資源の活用を行っていることが大きな強みになるのではないかと思っています。
 一方弱みはというと、流通や今後の戦略など、商品を誰にどういう風に売っていきたいかということを明確にしているところが少ないところです。今石垣島のブランドは、ひょっとしたら沖縄本島よりもすごくて、石垣島の名前だけで商品を買ってくれる方もいらっしゃると思います。しかしこれが二年~五年と経っていくうちに、今流通や商品開発などを考えていかないと、沖縄ブームが一度しぼんだように、石垣島の名前だけでは売れなくなってしまうと思います。そこが非常に弱みで、危機感を感じていかないといけないのではないかと思っています。

山本 私は『石垣島スパイスマーケット』の立ち上げから携わらせていただいているのですが、よく言っているのは、企業単独で市場を開くことは相当のパワーが必要で難しいということです。スパイスマーケットもそういう意味ではみんなでつくっていきました。その中で作り手の方たちにいつもお願いしているのは、お客様を見ていこうということです。お客様といきなり会うのは大変かもしれないけど、お客様のニーズを知っていくことは必要だと思うんです。「いいものができました!」というのは僕らが言うことではなくお客様が言うことで、そこは間違えてはいけないことですよね。そうすると出る場所によって表現の仕方も変わってきますし、そういうことを作り手の人たちも知らなきゃいけないと思います。

安藤 私もやはり団体戦みたいなものがないと、商売として大きくしていきにくいと思います。例えばロフトですと、登録している商品が30万種類くらいあり、創業当時は1種類の商品のために、わざわざ口座を開いて取引したりしていたこともあったのですが、店舗の数が増えて全体的に効率的な運営を考えていかなければならなくなると、ひとつの商品でひとつの会社と直接取り引きするということはとても考えにくくなってきます。
 一方で、『石垣島スパイスマーケット』のような、石垣の素材の強みの部分を上手く東京の感性で処理してくれるようなグループというのは、とてもやりやすい。我々がお客様に提案したい生活観をわかってくれた地域のマーケットの代表が、地域の商材を塊で提案する力をもっていることはとても取り組みやすいと思っています。

-石垣島スパイスマーケットの今後の課題
池村 『石垣島スパイスマーケット』に関しては私もすごいと思っています。ひとつの会社でないものが束になり、足並みを揃えるというのはとても難しい。そこでスパイスマーケットの成り立ちから携わった山本さんが思う難しさや、これからの課題などを教えて下さい。

山本 僕は最初どういう入り方をしたかというと、マーケティングセミナーみたいなところから始めたんです。そこで石垣の志を持った方と、素材を持った方たちと出会って、単体では難しいので団体でやろうよという話になったんです。そのときに石垣には良い部分と悪い部分があったのですが、悪いところは石垣島って東京からみると地理的にどこにあるかわかりませんでした。なのでまず目標を掲げて、伊勢丹の沖縄物産展のセンターを石垣のチームで獲ろうと決めたんです。これがすごくわかりやすく、目標を持つことで出口が明確になりました。そこにはリーダーがいて、数字も取れて、セカンド、サードの人たちもいて、どんどん伸びていくんですよね。それが実際に形となり、最終的には会社になったんです。これは全国的にみても相当珍しいパターンだと思います。これからは流通網をしっかり作ること、石垣島スパイスマーケット自体のファンを作っていくことをファンを作っていくことをやっ-ていこうと思っています。
商品開発のプロセスについて

池村 今の状況を打破する解決策のひとつは、塊でどう展開できるかというところになっているのだなと思います。もうひとつは、青木さんがおっしゃっていたのですが、沖縄の場合、生活改善グループの方々などが、一生懸命商品を作っているけど、自分たちで商品を完結させてしまって、その商品をどうやって売るかという話になったときに遠回りすることが多いと思うんです。青木さんの場合は、作り手と関わりながら意識を変えていくのはやはり大変ですか?

青木 私は最初は商工会と組んで地域興しに入ることが多かったんです。商工会も今は伸びる企業を伸ばしましょうというスタンスに変わっているのですが、そうは言っても満遍なく地元の企業を集めないといけない。なぜかというと、沖縄の中でのライバルというのは県外ではなくて、実は地元の事業者同士が喧嘩しているようなところがあります。最終的には頑張る人と頑張らない人がいて、頑張らない人の気質は、中途半端に地元で成功しているとか、褒められてしまっている人。逆に大人しいんだけど内に秘めているものがある人の方が、素直に意見を聞いたり、専門家の人たちと一緒にやりましょうという気質を持っていますね。
 公的事業というのは予算がついているうちはみんなまとまるんですけど、予算がなくなった時に継続できるかというと、やはり儲かるか儲からないかが鍵になると思います。今は売れていなくても、なんとかビジネスとして成功したいという気質の人もいるので、そこを伸ばしていかなければいけないなと思っています。

池村 売るのは出口なので、出口の意見を聞いて商品開発をしないと遠回りだよという話なのですが、そういう意味では明治屋さんでは独自に商品展開をされていていかがですか?

江森 明治屋では、これから育てていきたい独自企画として、明治屋ストア推奨品というカテゴリーがあるので-すが、こうと思っています。
商品開発のプロセスについて

池村 今の状況を打破する解決策のひとつは、塊でどう展開できるかというところになっているのだなと思います。もうひとつは、青木さんがおっしゃっていたのですが、沖縄の場合、生活改善グループの方々などが、一生懸命商品を作っているけど、自分たちで商品を完結させてしまって、その商品をどうやって売るかという話になったときに遠回りすることが多いと思うんです。青木さんの場合は、作り手と関わりながら意識を変えていくのはやはり大変ですか?

青木 私は最初は商工会と組んで地域興しに入ることが多かったんです。商工会も今は伸びる企業を伸ばしましょうというスタンスに変わっているのですが、そうは言っても満遍なく地元の企業を集めないといけない。なぜかというと、沖縄の中でのライバルというのは県外ではなくて、実は地元の事業者同士が喧嘩しているようなところがあります。最終的には頑張る人と頑張らない人がいて、頑張らない人の気質は、中途半端に地元で成功しているとか、褒められてしまっている人。逆に大人しいんだけど内に秘めているものがある人の方が、素直に意見を聞いたり、専門家の人たちと一緒にやりましょうという気質を持っていますね。
 公的事業というのは予算がついているうちはみんなまとまるんですけど、予算がなくなった時に継続できるかというと、やはり儲かるか儲からないかが鍵になると思います。今は売れていなくても、なんとかビジネスとして成功したいという気質の人もいるので、そこを伸ばしていかなければいけないなと思っています。

池村 売るのは出口なので、出口の意見を聞いて商品開発をしないと遠回りだよという話なのですが、そういう意味では明治屋さんでは独自に商品展開をされていていかがですか?

江森 明治屋では、これから育てていきたい独自企画として、明治屋ストア推奨品というカテゴリーがあるのですが、これはメーカーさんと共同で行っていまして、最近では、いかなごの釘煮という商品を開発しました。いかなごの釘煮というのは佃煮なんですが、神戸を中心に昔から家庭の佃煮として親しまれています。阪神大震災が起きたときに、全国からの支援のお礼に、神戸の人がそれを送った頃くらいから少しずつ知名度が上がってきました。これを今年の3月の始めに私どもの店で売りましたところ、カテゴリーの中でダントツ1位の大ヒット商品になったんです。それは作り手の想いもあるのですが、実は私ども売り手の想いもありまして、この商品が大好きで、絶対売ってやろうと思っていました。見せ方、売り方、価格の付け方、味まで全部考えて、値段以上の価値を出すという事を大事にしました。そういう売り手の想いも伝えていけば、私は販路は開けて-いくものだと思っています。

八重山の産業まつりのこれからの課題

池村 最後にみなさんが考える、八重山の産業まつりのこれからの課題を聞かせてください。

牧 厳しい言い方ですが、バイヤーのみなさんが話を聞いても応えてこないとか、商品をきれいに見せたいとかいうのが伝わってこないというのが全体的な印象です。例えば、ティーラ・アースがブライダルのブースをつくっていて、あそこまでやると、石垣島で結婚式をしたい人を呼び込むというのがわかるのですが、そういうことが伝わってくるブースが少ない。すべてをそういうブースにするのは難しいと思うのですが、例えばひとつのジャンルの中に1店舗メインのブースをつくることができると、面白くなっていくのかなと思います。

江森 冒頭にも申し上げたのですが、管理という立場から八重山の産品をみますと、商品そのものに特徴があるものは多いのですが、ラベルひとつとっても不備があったり、商品として完成していないものがいくつかありました。これは辛口ですが、その商品を本土で売ったならば、私の判断ではすぐ回収しなければならないような商品がこの会場には多々あります。しかもそれをみなさん自身が気付いていないことが極めて残念です。
 先ほども山本さんが『いい商品』とおっしゃったのですが、いい商品とは、技術力があったり、美味しかったりしても、それが消費者に伝わらないと全く売れないんです。例えば話題だけが先行して、ブームだけで終わる製品がそれに当たると思うのですが、ブームはブームとして日常的なものに繋げてこそ、永続的な地域の発展があると思います。

青木 私が感じたのは、出店している事業者さんや主催者は、もう少し準備や運営の仕方を根本的に考えていかなければいけないと思います。例えばバイヤーマッチング事業のエントリーシートを書く人と書かない人がいる。では、それを書かせるためにはどうするべきか考えていくことも重要だと思います。
 これをすべて事業者さんにやって下さいと言うのは大変で、普段製造に忙しくて、産業まつりでも売るので精一杯という人も多いと思うので、そこをサポートする体制をもう少し考えながらやらないといけないなと思います。そうしないと、八重山の産業まつりが一地方の即売会と、ただバイヤーさんが来る展示会で終わってしまうんじゃないかという気はしています。そこを来年に向けて良い方向に改良していくことを期待したいと思います。

安藤 去年も産業まつりに来させていただいて、いくつか八重山の企業さんと取り引きをさせていただきました。しかし納期のデリバリーのタイムが長すぎて、直接口座を開きその商品のためだけに取り引きするということはできなかったため、間に問屋さんを入れることでそのような問題を解決しました。しかし問屋さんには、石垣の商品の特性を理解して積極的に売っていくような理解力はあまりないんでんすよね。そういう意味で言うと、今回スパイスマーケットさんが会社になったことで、そのほかの商品も取り引きがしやすくなるところをとても期待しています。スパイスマーケットは、東京のライフスタイルの専門店や百貨店などに対しても対応できるノウハウみたいなものを持っているので、そこから量販など小売のカテゴリーに対応できるようなものを、受身ではなく攻めていく必要があるのではないかと思っています。

山地 私は展示会を主催する立場で出展者と関わりを持つのですが、昔は出店の説明会では注意事項ばかり話していたんです。しかしリーマンショック以降は、事前にどういうことを準備しないといけないとか、見せ方はこういう風にしたほうがいいとか、さらに言うと、展示会が開催中でもブースを回って、どうしてこの商品はこっちを向いているのかとか、レイアウトを組み替えたほうがいいんじゃないかとか、そのようなアドバイスをしています。出展者のみなさんは、産業まつりで売上を上げることと、バイヤーさんに認知してもらいたいことなど、いろいろな目的があって出店されていると思うのですが、ここで売ることで売る人の気持ちもわかると思うので、気付いたことを次に繋げていってほしいと思います。

山本 今回山地さんに来ていただいたのは、主催者のプロの力も借りましょうということでお呼びしたんですよね。実は私も中小機構でスパイスマーケットのような『NIPPON MONO ICHI』というプロジェクトをやっているのですが、発想は全く一緒で、前後のフォローを、主催する側がかなりの覚悟と力と根性を持ってやらないといけないなと思っています。山地さんはそういうことを今まで死ぬ気でやってきている主催者のプロですので、今後は一緒に運営していけたらと思っています。

池村 これだけの商談会を3年間やってこれたことは凄いことで、やはり八重山のポテンシャルはすごいなと思います。今日話したことをベースに、出店する企業側のスキルアップを図りながら、来年に繋げていけるような仕組みをつくっていければと思います。

この記事をシェアする