オヤケ・アカハチ その3

 「それじゃあね、よし、あなたのね、兄弟はね、姉さんもナアタフージもわたしを殺すためにおるんだね」

といって、あれから反対してよ、弟なんか三名殺したわけよ。

そしたらよ、ナアタフージは反抗ができんでしょ。

崎枝に行ってね、ガマ(自然洞くつ)に隠れて、驚いて、自分も殺されるということで。

今でもね、ナアタガマといって。

オヤケ・アカハチを驚いて、あちらに隠れてね、生活してね。

それでね、オヤケ・アカハチは、「こんなとこにいると、わたしも殺される」って。

 そのときにね、首里の王様がね、人頭税を各島のね、王様までにもね、人頭税をおくるということになってね。

あのときね、ちょうど今の豊年祭みたいなよ、この農民がよ、いろいろ働いて、人頭税もおさめて、自分なんかもイモを作って食べてね「一カ年ね、無事に過ごしたのはね、神さま仏さまのおかげだったんじゃあ」って。

イリキヤ・アマリという行事があったらしい。

農民がね、一カ年健康でね、農作物作ってね、男は作物、女は布を作ってね、ほんとにありがたい神さまに感謝の気持ちでよ、イリキヤ・アマリという行事があったらしい。

首里の王様はね、あれもね、イリキヤ・アマリの行事も知らないでよ。

 夜昼、男は働いて、人頭税おさめるからということで出てたのでよ、これではね、大変だということで、このオヤケ・アカハチはね、首里の王様にね、「あまり無理だ、農民はねこんなにまで夜昼働いておる、人頭税おさめておってね、こんな農民のイリキヤ・アマリまでもやめるということは許されないから」ということで、オヤケ・アカハチは、ナアタフージを呼び、川平のナカマミツケ、平久保のヒラクボカナーを呼んで「自分ひとりではできないから、首里の王さまはあまりにもワンマンだ、農民は昼も夜も働いて、こんなに人頭税おさめているのに、イリキヤ・アマリの行事までね、なくするということはね、農民はなにの娯楽もない、このイリキヤ・アマリは、ほんとに神さま仏さまに感謝して、一カ年夢中でできたのは神さまのおかげで、こんな農民のありがたい行事をなくすことは許されんから、反抗しよう」ということで。

 こんどはナアタフージ、これはナカマミツケ、家来をよこしてね、「きょうはイリキヤ・アマリのことで大浜にこい」ということで使いを出したところが、ナアタフージは驚いて、「この首里の王さまにいくら反抗したってよ、かえって殺されるだけだ。

どんなことでも首里の王さまに、ハイハイって守らなければいけん」ということで、ナアタフージは遠慮して、こなかったらしい。

>続く

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