八重山10大ニュース 2016年(平成28年)

 若宮健嗣防衛副大臣が2015年11月26日、石垣島での陸上自衛隊配備計画を中山義隆市長に伝えて以降、反対・推進の動きが活発化した。要請を受けてから1年が経過。「遠くない時期に判断する」としている中山市長の対応に注目が集まっている。与那国町では3月28日、「南西諸島の防衛強化」の先駆けとなる沿岸監視部隊約160人が配属されるなど、自衛隊配備問題が大きくクローズアップした1年だった。一方、観光が好調で、畜産も子牛のセリ値が上昇するなど、経済面で明るい材料も。スポーツ界では、島の子どもたちや八重山出身者が世界の舞台で活躍した。10大ニュースを通して2016年を振り返る。

1.陸自配備計画の動き加速

南西諸島の防衛強化を目的とする防衛省の自衛隊配備計画をめぐる動きが加速した。1月、地対艦誘導弾・地対空誘導弾を備えた陸上自衛隊の配備先候補地周辺の開南・嵩田・於茂登の3公民館が反対を決議、その後、川原公民館も続いた。2月には、北朝鮮の人工衛星と称するミサイル発射に備えてPAC3が再び石垣島に配備された。3月28日には、賛否で揺れた与那国島に陸自沿岸監視部隊が配属された。石垣島では防衛省が2度説明会を開催し、石垣市が公開討論会も実施。これを受け、中山義隆市長は「遠くない時期に判断する」としており、どう判断するか注目が集まっている。
 

2.市出身者が世界舞台で活躍

具志堅用高氏以来、41年ぶりの世界王者となったキックボクシングの廣虎をはじめ、カザフスタンで行われたジュニア世界空手道選手権で八重山高校2年の前田島光里が3位に輝くなど、八重山出身選手が日の丸を背負い世界を相手に戦った。野球では真喜良小6年の内間究が侍ジャパンU-12の日本代表に選出。中国で行われたアジア選手権で主力メンバーとして全試合に出場、日本の優勝に貢献した。リオ五輪にも自転車ロードレースの新城幸也がロンドンに続き2度目の出場。水球の棚村克行も日本代表正GKとして存在感を示した。廣虎は引退をかけて臨んだ4度目の世界挑戦で、チャンピオンベルトを勝ち取った。
 

3.年間で好調な八重山観光

台風などの外的要因に左右されなかった2016年の八重山観光は、年間入域観光客数が過去最高の120万人となる見通しで、好調な観光をさらに印象づけた。観光客増加を下支えしている外航クルーズ船の年間寄港回数が過去最多の90回台。空路は国際線の中華航空に加えて香港エクスプレスが新規参入するなど新たな転換期を迎えた。与那国では3月に中部地方から県外にチャーター便を展開するフジドリームエアラインズが初就航。与那国観光を掘り起こし、2017年3月の再運航も決めた。旺盛な観光を背景にホテルの建設計画も相次ぎ、富裕層の獲得を見込んだホテル計画も具体化。八重山のホテル動向も新たなステージにかじを切った。
 

4.旧空港跡地利用計画動く

旧石垣空港跡地で2月、新県立八重山病院建設工事が始まり、石垣市が2012年3月にまとめた跡地利用基本計画が具体化に向けて動き出した。石垣市は2月、新庁舎の建設位置を問う住民投票を実施。結果を受け、空港跡地を移転新築場所に決めた。2017年度中の着工を目指し、現在、実施設計の作業を進めている。跡地は約50ヘクタールと広大となっているため、市は今後の利用に向け、土地区画整理事業を検討している。一方、同地は戦時中、旧海軍飛行場だったため、数多くの不発弾が埋没していると予測されている。病院の建設現場でも多数発見されており、30発以上が処理待ちの状態。不発弾処理対策も課題となっている。
 

5.子牛が高値、畜産活気づく

全国的な素牛不足を背景に子牛のセリ価格が前年から高値が続き、枝肉とともに2016年も好調だった。酪農でも、伊盛牧場(伊盛米俊代表)が2016年度農林水産祭の畜産部門で最高賞の天皇杯に選ばれるなど、畜産がさらに活気づく1年となった。1月のセリは八重山家畜市場で平均68万円余、黒島家畜市場では70万円余でスタート。その後、何度も過去最高を更新、約78万円まで上昇した。しばらくは高値傾向が続くと見られている。天皇杯の受賞は八重山から2度目。地元の第1次産業従事者の大きな励みとなった。畜産が好調な一方、前年の暮れから続く長雨など天候不良でサトウキビや園芸作物などが減収を余儀なくされた。
 

6.竹富町長に西大舛氏当選

任期満了に伴う竹富町長選挙が8月末に行われ、元町議だった西大舛髙旬氏が1418票を獲得して初当選した。当時現職で3期目を目指していた川満栄長氏に108票差をつけた。今町長選は、川満氏が6月に出馬を表明。川満氏に反発する当時の野党町議が対立候補の人選を急ぐも難航。無投票の可能性がささやかれる中、8月に入り西大舛氏が出馬を決め、決選投票となった。大きな争点がなかった選挙戦では、西大舛氏が町議の半数以上の支持を受け、自民党県議や市議、与那国町議も支援。自治労竹職労の推薦も追い風に出遅れを挽回した。一方で、投票率は82.18%と過去最低となり、有権者の関心の低さを物語った。
 

7.環境・野生生物に暗い影

2016年は、西表石垣国立公園の石西礁湖海域でサンゴの平均白化率が97%に上ることが分かった。絶滅危惧種のイリオモテヤマネコは7頭の死骸が発見された。交通事故死だった場合は過去最多となる。これまでも継続して行われている環境・野生生物の保全と保護に暗い影を落とした。サンゴの白化は、環境省那覇自然環境事務所が9~10月に実施した調査で明らかになった。30度以上の高海水温が続いたことが原因とみられ、7~8月の調査は89.6%だったことから白化の進行も確認された。ヤマネコは、7頭目の死骸が12月4日に上原の県道215号線で見つかった。2016年は妊娠中のメスも事故死していることから繁殖に影響を与えている。
 

8.石海保尖閣警備態勢強化

石垣海上保安部の尖閣諸島の領海警備に特化した尖閣領海警備専従体制が整い、4月に同保安部浜崎船艇基地内で完成披露式が行われた。新造巡視船10隻と、那覇保安部常駐のヘリ搭載型巡視船2隻の計12隻が新たに配備され、職員も500人増員の689人と全国の保安部で最大規模となった。尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国の動きを念頭に、領海の管理を強化する狙いがある。2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件以降、同周辺海域で緊張が続く中、11月末時点で中国公船などによる接続水域入域は717隻(前年同期比50隻、7%増)、領海侵犯111隻(同23隻、21%増)となっている。
 

9.5人未満幼稚園の休園問題

石垣市教育委員会が8月の定例会で市立幼稚園管理規則を一部改正し、申込者が5人未満の幼稚園を2017年4月から休園とする方針を示した。”集団学習を通して質の高い教育を提供する”、”幼稚園教諭らの負担の平準化を図る”、ことがその主な理由だが、地域や保護者、園長らに説明しないまま決定し、性急だったことから、猛反発を招いた。募集は11月にいったん締め切ったが、2017年1月31日まで受け付け、同2月1日に最終判断が下される。12月に入って開かれた平久保と川原地域の説明会では、小規模園の良さや、統廃合への懸念など多様な意見が上がり、反対の声が続出。「決定権者が出席を」の声も。市教委にはより丁寧な対応が求められる。
 

10.児童生徒が文武両道の活躍

2016年は石垣中、石垣第二中の野球部が2大会連続で全国大会に出場するなど、スポーツ面・文化面でも県大会優勝や上位入賞の活躍が相次ぎ、例年以上に全国大会出場者が多かった。二中女子バレー部の川満愛優、与那覇夏歩が県選抜として中学バレー全国都道府県対抗に出場。陸上では国体に二中の玉城茉歩が出場、二中は男子駅伝部や女子4×100メートルリレーでも出場した。文化面でも、八重山高校カラーガード部と石垣Crownが2017年2月の全国大会出場を決めた。生徒科学賞作品展で優秀賞に輝いた八重高生物部、九州放送コンテストで優良賞を受賞した八重高の新垣春菜、八重高・八重農の両郷土芸能部が全国高校総合文化祭へ出場する。
 

次点.停電、不発弾と生活混乱

10月6日午前、石垣市盛山付近への落雷で、波照間島と与那国島を除く郡内全域約2万2,000戸が午前9時ごろから約3時間、停電。飲食店やスーパーなども営業を停止。信号機も止まり、街の機能が一時、完全にマヒした。翌7日夜にも発電設備の不具合で、午後9時半ごろから約1時間、登野城や真栄里など最大3,050戸で停電。度重なる停電に、市民からは怒りの声が上がった。一方11月には市内大川の中心市街地で英国製250キロ爆弾が見つかり、26日に市街地では29年ぶりの信管離脱作業が実施された。作業に伴い、処理現場から半径283メートルが避難対象区域となり、70事業所が営業停止、観光客含め3,000人以上が避難する事態となった。
 

次点.八重山の産業まつり中止

10月1日から2日間、開催が予定されていた「八重山の産業まつり」が中止された。1978年の開始から台風以外の理由での中止は初めて。出展を予定していた業者や市民からは「商品をPRする場がなくなった」、「まつり自体の魅力がないのではないか」との声が上がった。同まつりは地場産業の振興を目的に、「オリオンビールまつり」や「石垣島まつり」と並ぶ島の三大祭りのひとつ。2007年から運営を八重山青年会議所が担い、趣向を凝らした内容で開催してきたが、2016年は出展業者が予定の半数に満たず、収益面を考慮して中止となった。2017年の開催は不透明で、新たな枠組みが問われる形となった。