新宿御苑大温室の沖縄コーナーで自然観察

このところ、新型コロナウイルスの肺炎への警戒のために、内地では地域によっては人ごみを避けるような意識をしている方もかなりいらっしゃるのではないでしょうか?
筆者も感染予防のため、極力不要不急の外出は避けるように心がけています。
行きたいと思っていたイベントも中止になったりしていますし…。
 
今回の記事は、そこまで感染の脅威が実感できていない頃に行ってきた施設のご紹介です。
 
 
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新宿御苑(東京都新宿区) 大温室 沖縄コーナー

 
東京には、そびえ立つビル群の中に木々が生い茂るいくつかの心安らぐ場所がある。
代々木公園や明治神宮の森、日比谷公園、そして、新宿御苑もその一つだ。
筆者が新宿御苑を訪れた頃は、2月のある小春日和の日。
梅や水仙、河津桜など数種類の早咲き桜が見頃だった。

 
新宿御苑にはこれまでにも何度か訪れたことがあったが、大温室に入ったのは今回が初めてだった。
予備知識なく足を踏み入れてみたら思ったより広く、だから「“大”温室」なんだと納得。
 
小春日和とは言えまだ季節は冬だったので、温室に入ると暖かさに包まれほっとした。
 
温室の様々な植物には名札がついている。
入ってしばらくは海外の植物が出迎えてくれた。
その中には、バナナやタビビトノキなど八重山でも見ることのできる植物もあった。
 
さらに奥へと足を進めていくと、沖縄や八重山旅で見たことのある植物が増えてきた。
名札の植物名にも「オキナワ」とつく物もある。
・・・そこは「沖縄コーナー」だった!

 
琉球列島の自然環境の変化についての解説があった。
 


「琉球列島は、氷河期と間氷期が繰り返される中で、大陸とつながったり離れたりしながら形成された諸島です。
その成り立ちの過程で島に取り残された大陸の植物が多く見られます。大陸と海で隔てられ長い期間を経る中で、独特な島の生物相が形成されてきたと考えられています。
琉球列島に自生する維管束植物は約1,600種。小さい島々ですが10平方km当たりの種数は日本本土が0.1種なのに対して琉球列島では4.5種です。」
(「維管束植物」=維管束を持つ植物のグループで、シダ植物、種子植物がそれにあたる)


 
なるほど! そうなんだ!
琉球列島は国内でも植物の種類が豊かな場所なのだと、この解説で知ることができた。
一方で、絶滅または絶滅の恐れがあると指定されている植物も約700種にのぼるのだという。
旅の最中に一見ただの雑草としか思えない植物が、もしかしたら絶滅の危機にさらされている種ということもあるかもしれないと思うと、植物を見る時の意識が変わりそうだ。
 
「沖縄コーナー」には筆者でもわかる八重山でも身近な植物が多々あった。
左上から:ヘゴの仲間、パパイヤ、あかばなー、クワズイモ

パパイヤは周囲に邪魔する物がない空間にのびのびと葉を広げることができると、その茂った様子はリースの輪みたいな円形になることに気がついた。
 
「沖縄コーナー」の手前にもう一つ解説板があった。
「マングローブ」についての解説だった。
オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギが栽培されていた。

 
こんな植物たちも。
上段:デイゴ、オオタニワタリとサガリバナ
下段:プランターに植えられたサトウキビ、サトウキビの左奥にはマルバガジュマル

 
南ぬ島空港から離島ターミナルに向かう道の途中でも見かけるトックリヤシ。

 
マングローブと沖縄コーナーのさらに奥には、「小笠原コーナー」もあった。
また、通路は立体交差になっている。

 
背の高い植物の上の方を間近に見ることができたり、木を上から見下ろすことができたりして面白い。
サガリバナの木も上から眺めるとこんな感じだ。
鳥はこんな風景を目にしているのだろうか。

 
他に印象深かったのは、ちょうどタイミングよく実っていたレモンやカカオの実。
沖縄コーナーとは別のところに、ドラゴンフルーツの株もあった。
また、低いところは水辺の植物や湿度の高い熱帯・亜熱帯の植物があったが、高いところにある通路沿いは乾燥地や熱帯山地の植物の栽培展示もあり、一つの温室の中に地球上の複数の気候帯の植物を一度に見ることができた。
それがこの温室の魅力かもしれない。

(あまくま たーかー)

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