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「海人三郎」 西野嘉憲 写真展 11日まで(大阪)

西野嘉憲 写真展「海人三郎」
会期:2019年9月5日(木)~11日(水) 10時~18時
   (最終日は15時まで)
会場:キヤノンギャラリー大阪(大阪市)

  https://cweb.canon.jp/gallery/archive/nishino-mariner/index.html
 
 
 
大阪生まれで2005年に石垣島に移住して活動している写真家・西野嘉憲さんの写真展「海人三郎(うみんちゅさぶろう)」の大阪展が、銀座展に続いて現在開催中だ。
今回のテーマはタイトル通り、石垣島の漁師・海人三郎さんを撮り続けた16年間での代表作で、映像コーナーもある。
 
7日(土)の午後にはトークギャラリーが開催された。
 
西野さん、ゲストのアートディレクター・三村漢さん、そして石垣島から海人三郎さんご本人もやってきて、豪華メンバーによる1時間となった。
 

 
まずは、西野さん、三郎さんによる映像の紹介から始まった。
三郎さんが6mの銛を使って巧みに漁をする姿などがあった。
追い込み漁の様子も映された。
漁場の海は透明度が高いので三郎さんは潜水して漁を行い、この方法で獲れる時は2トンほどになることもあるという。
 
銛での漁の時は、銛と三郎さんの身体をばねにして、魚の頭・エラより前方を突く。
沖縄の銛は返しがついていないのが特徴で、魚が暴れても抜けないように、グイっと奥まで銛を押し込むのだそうだ。
また、血で魚の身が染まらないように、三郎さんは突きながら絞めるのだそうだ。
三郎さんは、素潜りの場合と、タンクとレギュレーターをつけて深いところにも潜るという話もあった。
 
西野さんによると、マンタは好奇心旺盛。
カメラが一番大きい人に寄ってくるという面白エピソードに、会場からも笑いが漏れる。
 

 
 
次に、今回の写真の展示レイアウトを手掛けたアートディレクター・三村漢さんも参加して、3人で写真の紹介のトークとなる。
 
三村さんの父親は星野道夫など多くの写真集を手がける三村淳さんで、今回は写真集が淳さん、展示が漢さんと、親子で西野さんの写真に関わったのだそうだ。
 
三村さんの司会で、さらにトークが続いて行く。
西野さんと三郎さんの出会いは16年ほど。 
海人をテーマに20年くらい前から写真を撮り始めた西野さんは、5年目くらいに三郎さんの門をたたいた。
はじめの頃は西野さんが泳ぐと魚が逃げると、三郎さんによく怒られたのだそうだ。
カメラの技術のみならず、潜水技術、魚の動きなども研鑽を積んでいった。
三郎さんにはたくさんの指導を受けたという。
「レジャーのダイビングとは、全く違う。命の危険もある」と、西野さんと三郎さん。
「今はあうんの呼吸。だからこういう写真が撮れた」と、今では三郎さんは西野さんにすっかり信頼を置いている様子がうかがえた。
 

 
 
三郎さん自身は、小学校高学年から漁の体験を始めたのだそうだ。
当時はゴーグルだけで、それが漁のスタイルの基本にあるのだそうだ。
現在65歳。
自分のペースにあわせて、できれば80歳くらいまで漁をやりたいと、三郎さんは抱負を語った。
  
三村さんからは、組み写真の構成や、会場全体のレイアウトなどについてのコンセプトが紹介された。
例えば、組み写真だと、色の配列に気を配った。
海の写真は青が多くなるので赤や黄色などの色味の写真でアクセントをつけたり、視点に変化があるような配列でメリハリのある展示を心掛けたりしたそうだ。
 

 
三郎さんの漁や、それに追従して撮影する西野さんはまた、潜水病の恐ろしさについても「死と隣り合わせの危険性」だと触れた。
三村さんが「泡より先に上がってはいけないと聞く」と応えると、三郎さんは「自分でさえ陸に上がって6時間以上経ってから初期症状を経験することがある」と語った。
 
会場に展示された素晴らしい写真の一枚一枚は、モデル、写真家、アートディレクターそれぞれが、様々な努力や配慮をした結晶としてここにあるのだと、しみじみ感じた時間だった。
 
 

 
ギャラリートーク終了後には、会場で販売されていた西野さんの最新の写真集『海人』を買い、出演者にサインを求める人々が列をなした。
今夏発売され、今回の作品も掲載されている。
 
会場には海の生き物のオリジナルガチャマシンもあった。
会場限定で、銛と大きな魚を抱える三郎さんのストラップもまざっている。
写真集購入者にはこれがもれなく特典としてついてくる。
また、写真集の消費税もサービスとなっているので、購入するなら会期中がお得だ。
 
大阪展は11日(水)まで(最終日は15時と終了時間が早くなっているので注意)。
みなさんも会場に足を運んでみたり、写真集を手に取ってみたりしてはいかがだろうか?
 
 
【お知らせ】
弊社発行の「月刊やいま」2019年9月号に、今回取材した西野さんの写真集や書籍についての記事があります。
 
32ページ「資料こぼればなし」 文:八重山資料研究会 山根頼子さん

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