内地で八重山の手工芸にふれる

「月刊やいま」の2017年5月号の特集が白保のやちむん館だったことは、読者のみなさんはご承知のとおりであろう。
そのやちむん館が、立て続けに大阪のデパートのイベントに出展した。

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●「風水土のしつらい展」 
大丸ミュージアム 
2017年5月17日(水)~22日(月)
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会場入口付近にブースがあり、来場した際にすぐに目に留まった。
その一角には八重山の民具などがあふれていた。
クバ笠、クバの扇、アンツク、アダン葉の草履、カヤで作られた大小さまざまなカゴ・・・。

会期中日の土曜日は、ワークショップが開催されたようで、講師でもある代表の池原美智子さんもちょうどブースにいらした。
池原さんから、5月20日に白保で新たな歴史的発見のニュースがあったとうかがった。
白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡で、2万7千年前・旧石器時代のものと思われる国内最古の人骨がほぼ完全な形で何体も発見されたのだそうだ。
新たに発見されたいにしえの人々の時代には、こういった民具の原型があったのだろうか?などと想像した。
やちむん館で販売されている八重山の伝統的な民具などの中には、現代風に少しアレンジされた物も見受けられた。

「ある素材はある用途・形の民具に適している」と落ち着くまでに、いつの時代からか多くの人たちの試行錯誤が連綿と続いてきた先に「今」がある。
そんなことを考えさせられた展示だった。
               
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●「二風谷アイヌと八重山の民藝」 
阪急うめだギャラリー アートスペース 
2017年5月31日(水)~6月5日(月)
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こちらには、やちむん館の他に、あざみ屋、アンパル陶房(宮良農園)も出品。
全国各地の民藝店店主が選んだ品々のブースや、松本民芸家具の特設ブースとは独立したコーナーが設けられていただけあり、様々な種類の八重山の手工芸品、民藝品が並び、見応えがあった。

あざみ屋は、ミンサー織りの布で作ったクマのぬいぐるみ以外の大半は、今回のテーマに沿った伝統的な柄のものを選んできたそうだ。

八重山上布の反物や、タペストリーなどもあった。

アンパル陶房は、オリジナルデザインの陶器の他に、石垣島で作られていた八重山の古陶を再現させた焼物や、本工房で作ったパナリ焼なども出品。
石垣島の八重山博物館で古い陶器やパナリ焼などを見たことを思い出す。
やちむん館は、前回にはなかったアクセサリー類なども多数そろえていた。

代表の池原さんのおばあさんが麻の着物を解いて洋服にリメイクしたという非売品のワンピース(上の画像)や、月桃、長命草などの生花も、自然の物から様々な民具を作ってきた八重山のかつての暮らしを想像させる助けとなった。

隣接した二風谷アイヌのコーナーには、八重山とはまた違った草木を素材にした民具や民芸品が展示されていた。
衣類や木彫りの作品には、様々な意味のある紋様が施されており、八重山上布やミンサー織りの模様に意味があることと共通するものを感じた。
本展の正式名称は、「縄文の記憶が繋ぐ二風谷アイヌと八重山の民藝」だ。
パンフレットを見ると、その二つの民具に「どこか共通点が感じられるのは、遠い縄文時代の記憶がつながっているからでしょうか?」というのがコンセプトのようだった。
言われてみると、上記のような衣類に意味のある紋様を施すことや、植物から作った敷物、カゴなど、約3,000km離れたそれぞれの地域に育つものを使った伝統的な手工芸に、自然とともに暮らしていた人たちに共通する思いや願いが込められているような気がした。

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