八重山ファンのみなさんは、もうすでに映画「Dr.コトー診療所」はご覧になったことと思う。
筆者も昨年の内に観に行った。
本作品が公開されてから、1ヶ月近く経った。
少しネタバレも許される時期かと考え、2023年最初の記事はこの映画の感想を記そうと思う。(風景画像は、筆者が昨年与那国島を旅した際の物)
昨年公開に先立ち、テレビやインターネットで過去のテレビドラマシリーズ全作品の公開があった。
筆者は全部見てから今回の映画を観に行った。
結果としてその形を取って良かった。
テレビドラマに出演した主要な登場人物のキャストを16年前と同じ人が演じており、その数が少し多めなのだ。
事前にその登場人物たちそれぞれの関係や背景も理解した上で映画を観ると、より楽しめる。
もちろん、パンフレット等にもきっと登場人物の紹介や関係図もあるだろう。
初めて「Dr.コトー診療所」という作品そのものに触れる方には、今更ながら何らかの形での予習をお勧めしたい。
この作品の登場人物たちが織りなす物語がより深く理解できるだろう。
16年ぶりに集結した俳優陣は当然のごとく皆それぞれに年齢を重ねていた。
それが、より映画にリアリティを与えたように思う。
まるで、本当に日本のどこかに志木那島があり、そこで暮らしてきた人たちの記録番組を見たか島を訪れて久しぶりにその人たちを見かけたような気分になった。
たとえば筆者の八重山旅でも、何度か通っている内に顔なじみになった地元の人やこちらが勝手に知っている島人がいる島がある。
そこにずいぶん久しぶりに行ってその人たちを見かけた時の気分と似ているよう感じられたのだ。
懐かしい気分になったり、「歳を取られたな」「お元気そうだな」「こんなに成長したのか」などと思ったりしながら映画を見た。
自転車が電動になっていたり、診療所の設備もグレードアップしていたりと、月日の流れとともに良くなっていた描写もあれば、一方で、離島・へき地医療に携わる人たちの大変さについても改めて考えさせられた作品だった。
コトー先生は、自身の病気の症状が出ているにもかかわらず、土砂崩れで次々と担ぎ込まれる島民のけがの処置や手術までやっていた。
現状でも医師にそんな症状が出ている状態でも手術をするのかどうかについては疑問に思ったが、それに近いような危機的状況は実際にもあるのかもしれないと想像した。
「その人がやらなければどうにもならない」状況は、医療現場以外でも起こりうるわけで、それが時に誰かの命にかかわる状況にもなりうると考えると、その厳しさは相当なものだろう。
この機会に、八重山の医療の現状を調べてみた。
「沖縄県立八重山病院」のホームページの「附属診療所のご案内」を見ると、次のように書かれていた。
島民だけでなく旅行者も知っておいた方がいいと思い、下記に引用する。
離島診療所は、医師、看護師1人体制で診療を行っていますが、かならずしも土日に医師看護師が島に待機しているわけではありません。
「夜間・休日」の受診については、あくまでも命に関わるような緊急時対応のためです。(診療所は緊急病院ではありません)
現在、「夜間・休日」受診される患者さまが増加傾向にあり、医師、看護師の負担が増えています。
発熱や軽度の受診については、なるべく平日の時間内に受診されるようにご協力ください。
なお、土日・祝日・夜間に「診察」(受診)が必要となった場合は、離島町村では、まず「119」(沖縄県消防指令センター)に連絡下さい。専門の指令員が対応します。

映画のロケ地である与那国町の診療所については、「沖縄県の離島医療支援・医師募集サイト ゆいまーるプロジェクト」によると、医師一人、看護師二人となっていた。
コロナ禍で石垣島や与那国島でかなり感染者率が高かった時期もあるとニュースで見聞きしていたが、医療現場の方々は大変だっただろうと、映画やこのサイトを見てあらためて考えた。
またこのサイトによると、沖縄県全体で医療従事者の人手不足がみられ、それを解消しようという試みがこのプロジェクトであると理解できた。

サイト「ゆいまーる プロジェクト」は医療従事者向けの情報がメインだが、観光客、旅行者にとっても大切なことがあったので、最後にぜひ紹介したい。
(ゆいまーる プロジェクト)「沖縄離島医療の特徴」より
気候は年間を通じて温暖ですが、台風の季節は航空機や船の欠航が相次ぎ、近隣の病院と常に連携が取れる本土の医療環境とはまったく異なります。
医師・看護師が一人ずつしかいないだけでなく、設備にも限界がある。
そこに天候不良や大しけとなると、万が一離島医療で対処できる範囲を超えた状況になった際に苦しむのは患者自身だ。
それゆえに、島を訪れる人たちも、けがや病気、日焼けによるやけどなどを予防し、島を経つまで安全に健康に過ごすことに留意されることをお勧めする。
年末年始の人の移動で感染者がまた増えてきているが、同時に旅行支援も再開した。
八重山の島々へ旅行を検討されている方は、どうかくれぐれも、健康と安全に気をつけてください。
あまくまたーかー