夏の到来を告げるイワサキクサゼミ鳴く

 4月17日午後1時19分には石垣島では28・4度の最高気温を記録し、波照間でも午後1時31分に28・8度と5月中旬並みの最高気温となった。

 そんな中、「ジーーー」雑木林から強い調子で鳴く虫は草の上のイワサキクサゼミ。石垣市新川雑木林で、2個体ほど鳴き交わしているのが見られた。強い日差しに照りつけられると、思い出したように鳴き始める。風に葉が揺れ、揺れ幅が大きくなると黙る。これを繰り返しながら、夏真っ盛りを迎えようとしている。

 このイワサキクサゼミは、国内最小のセミで1.7センチほどのサイズ。石垣島地方気象台(当時は中央気象台石垣島測候所)の第2代台長の岩崎卓爾が発見。標本を中央へ送り、昆虫学者の松村松年氏から献名されてついた。岩崎卓爾は2001年に石垣市の名誉市民になっている。イワサキとつく昆虫の名前が多いが、それは氏が自分で付けたわけではない。発見者を讃えて学者が命名している。八重山でこのセミが鳴き出すと、強い日差しの夏がすぐそこまできて、過ごしよかった春の日々に別れを告げ、厳しい暑さに覚悟を決める時期にさしかかったことを実感する。

(流杉一行)

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