<日曜の朝に>「じょーとーむん祭り」と宮城奈美子さんのこと

きょう3月5日はサンゴの日。「畑と海をつなぐサンゴのまつり」などサンゴにちなんだ興味深いイベントがいくつか用意されているようだが、今回のこのコーナーでは、きょう10時から伊野田公民館で開催される「じょーとーむん祭り」にまつわる話を紹介したい。

伊野田の思い出がひとつある。散髪屋であった父が、入植間もない伊野田の人たちの散髪をするために四ケから伊野田まで自転車で通ったという話。たったそれだけのことだけど、いろんなことが想像されて、伊野田には特別な思いがある。

そういえば仲村喜永さん(開拓団副団長)とお会いした時のこと、『ドキュメント八重山開拓移民』の著者・金城朝夫(友寄英正)さんのことも思い出す。

最近「伊野田おっかあ市」のことを聞いてどんな市なんだろうと興味を持っていた。その「おっかあ市」が「じょーとーむん祭り」と同時開催されるというので、ちょうどいい機会、山城由久伊野田公民館長に話を聞きたいと連絡をとったら、それなら宮城奈美子さんに会うといいと紹介された。

「私のなかではこの二つ(協議会とおっかあ市)はつながっています」と宮城さんは言う。

いきさつは次のようであるらしい。
石垣市北部農村集落活性化協議会(我喜屋隆会長)は農林水産省の農山漁村振興交付金を活用して5年間の継続事業をおこなうことになった。
2015年度はビジョン作り、2016年度の活動は北部三大夏祭り(星野まつり、明石エイサー、野底つんだら祭り)の支援、命草(ハーブ)講習会、冊子「石垣島北部地域 魅力発見!バーズ・アイ・ビュー」の発行、そして今日の「じょーとーむん祭り」の四つのプロジェクト。

協議会の委員として伊野田からは宮城さんら4人が参加した。
「うちの公民館長はとても理解があって若い人を送り込んでくれました。ワークショップに参加したり、どういったプロジェクトをやりたいか聞き取りしたりとか、私、そういうのが好きなので、子育てしながら好き勝手言っていたのが、始まりです」

「おっかあ市」は2016年5月8日にスタートした。
「ばあちゃんが、近所に配ってもまだ野菜が余っているときに、売る所でもあればね、と。協議会でも、村づくり課のワークショップでも、無人売店などで村の活性化ができたらいいねという話が出ていて、私、子育てしかやっていないから、私がお手伝いしたらそんなことが可能になるのかな、と思って。仲間と全世帯に理解を求めるチラシを配布してスタートしました」
協議会での経験がここにつながったと言えようか。

今も「おっかあ市便り」(伊野田地域活性化を考える女性の会)を各戸に配り、参加を呼びかけ、毎月第一日曜日、伊野田公民館で10時から13時まで開催する。野菜、鉢物、花き、地元食堂の弁当・惣菜、お母さんたちの手作り民芸品・手芸品などが並ぶ。
新聞に出したりなど特にPRしないが「クチコミなのか、思っていた以上」の人が集まるようになった。

「じょーとーむん祭り」は宮城さんの提案から始まった。おっかあ市活動が評価されて予算がついた。どんな祭りにするか。事務局(市)との話し合いが11月17日に設定された。そのとき彼女は臨月。「公民館長とおっかあ市のメンバーに声かけして段取り」し、16日に無事男の子を出産。

17日の話し合いには参加できなかったが、メモを残した。「経緯(今日お集まりの皆さまへ)」。話し合いまでの経緯を説明し、次のように記している。

「北部活性化協議会とのイベントと、おっかあ市の共催は相乗効果となり有効であると同時に」「道の駅をつくりたい、若い人達をよびよせたい、空港シャトルバス・周遊バス交通手段の確保という大きな希望は、いのだ地域だけでなく北部全体で取り組んでいかないと実現しない問題。出きること、出きないことはもちろんあるが、この地域の『主体』となって1歩ふみだしていってほしい」

宮城奈美子さんは新潟の出身。はじめ旅行で石垣島にやってきて、そして結婚。夫の祖父母が伊野田入植者で、「旦那は街で育ってますが、おじいちゃんの畑を受け継ぐ形で」農業を始め、2年半前から伊野田に住んでいる。

「役所から案内がくるのですが、返事をファックスで返してください、と。しかしそのファックスが北部にはないんですよ。ファックスで返事するために街まで出ないといけない。去年は幼稚園の問題とかもあっていま大変な時期にきていますが、石垣の中心は私たちにとっては北部だよと自信を持って言えるようものをつくりたい。それはしかし自分達の地域だけでなくみんなで協力して大きな夢に向かって行けたらいいかなと思います。この10年ぐらいが大事だと思っています」と宮城さん。

山城公民館長も次のように言う。
「空港がこっちにできたけど、あんまり変わらないね。働く人とかこっちに住んでくれるかと期待していたけど。過疎化ですよ。学校の存続もあやうくなって、幼稚園の問題は平久保だけの問題ではなく、伊野田も来年は足りないですよ」

おっかあ市について、「いいユンタク会の場になっています。輪がひろがってくれればいいですね」
祭りについて、「祭りを通して伊野田をもう一度見直してもらえればいいですね」
宮城さんについて、「助かっています。でも、やりすぎて疲れないように」

祭りは、おっかあ市を中心にした特産品販売や飲食ができるブースのほかに、帆かけサバニ・与那国馬乗馬体験(漁港)、島花フラワーアレンジメント、月桃ムーチー作りなどの体験コーナーがあり、午後からは、伊野田エイサー、つぃんだら節、ミニライブ(ティダノミユキ)などのアトラクションが用意されている。

「おっかあ市便り」10号に、次のような呼びかけ文が載っている。きょうは日曜日。興味と時間のある方はどうぞお出かけください。

三寒四温の激しい気候変化の中、皆さま体調はいかがでしょうか。
さて、今回のおっかあ市、でーじです。おっかあ市はいつも通りですが、どうやら北部活性化事業のお祭りがやってくるみたいですよ。伊野田出身の青年達も一生懸命、一からエイサーを練習しているみたいだけど、さてはどうなるか、心配半分期待半分。チバリよー!
おっかあ市はとりあえず、自分たちのやってきたことを信じて、マイペースに楽しみましょう。
伊野田いーのだ良いとこだ。お客さんが、そんなふうに感じてくれると良いですね。

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