きょうはフクギの日

今日2月9日はフクギの日。最近できた沖縄だけの記念日である。
2014年、沖縄県緑化県民運動推進会議で制定された。樹木の記念日は県内では初めてだという(琉球新報2014.2.13)。

フクギ。福木とも書く。沖縄では知らない人がいないほど馴染み深い木である。よく屋敷まわりに防風林として植えられる。備瀬の福木並木が有名だが、波照間島の集落は福木の緑で深く囲まれて印象的だし、石垣四箇字でもマフタネー(4号線から北側の集落。かつては農業従事者が多く住んでいた)あたりにはまだまだ福木に囲まれた家並みを見ることができる。

石垣方言でフクン、フクンギー。竹富方言ではフンキー、フン、フンブトゥという。首里方言フクジ。『竹富方言辞典』によると、「オドギリソウ科。防風林、防火林や建築材に利用する。皮は黄色染料にする」。

『竹富方言辞典』は次の例文を載せている。
「ヤーヌマーイ フンキーヌ ムイ、カタックリ、カジヌ スバーン ノーン ヌーサネーヌ(家の周囲にフクギが生えて防風林になり、台風が吹いても何の心配もない)」

フクギの話題をひとつ。喜舎場永珣『八重山民謡誌』から。

竹富に「マンノウマ節」という民謡がある。マンノウというのはワラビナー(童名=幼名)「真武能」という人のこと。子ども等につける接尾語「マ」がついて「真武能マ」。

竹富村のユンチュ(与人=村長)のマンノウマを称えた歌だが、そのなかにヤマフクン(山福木)が出てくる。

「山フクンニ ヌイディ生リ 真武能マ」
これを喜舎場永珣は「山福木のように 諸木に抜き出て秀才に生まれであった 真武能よ」と訳し、ヤマフクン(山福木)について次のように説明している。

「屋敷の周囲にある建築用の福木と同種のようであるが、唯異なる点は、幅には生長せず、高さだけにのみ伸長し、他の衆木より図抜けており、葉も果実も福木に少々似ており、小形の福木である。この山福木は、八重山の全山には無く、石垣島の伊原間、平久保やヤラブ半島の或る特定の山にのみ群生している。材質も堅牢なので、乗木や柱等に最も適する長木である」(p215)

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