西表島のイノシシ猟

毎年11月15日から2月15日まで狩猟期間となる八重山でのカマイ猟。昔から西表島や石垣島では、イノシシをタンパク源として狩猟が続いてきた。イノシシは、捨てるところはなく、顔までも、全部食べられるという。「男のロマン」ともいわれるカマイ猟、同行させてもらった貴重な体験をレポートします!

 12月の西表島。30年以上ふたりで組んで猟に出ている仲新城長博さん、高田見誠さんに猟へつれていってもらった。
 車で川をいくつも越える。山中に車を止め、いざ、獣道を歩き、仕掛けたわなのひとつひとつを見ていく。
 草木を掻き分け、沢や急な斜面、ゴツゴツした岩場など安定しない足元を歩く。ついていくのに必死だ。少しして、イノシシの足跡が見られた。まだ新しいものだった。期待も高まるが、なかなかかかっている気配に出あえない。

 道なき道を歩き回って2時間ほど経ったころ、ついに出あうことができた。約15kgほど、生後7ヶ月くらいと思われる小さいイノシシだった。わなから解き、イノシシの顔を踏みつけ、紐で足3本、そして口を縛る。そして、生きたままを肩にかけて歩く。次から次へポイントを見てまわる間もずっと担いだままだ。 
 この日はいつもより短めに、4時間ほど歩き山を出た。この日はこの一頭のみの収穫だった。時によってはひとつ目にチェックしたわなからかかっていることももちろんある。多い時には6時間ほどの山中で5頭ほども捕まる事もあるという。
 ただ、わなにかかっていたからといって安心はしていられない。爪1本だけが引っかかっているものなどは、少し胴体に触れただけでもわなから解け、暴れて突進してくる場合だってある。実際に何度もあり、格闘の末に仕留めたということも。ある個体は、挟まってしまった足1本だけ残して、姿はなかったこともあったという。
 この日獲ったイノシシを担がせてもらった。弱ってきてはいるものの、ジタバタしながら、時おりうめき声をあげていた。動物の温かさを感じた。

 子どものころから父親に狩りについていっていた長博さんと見誠さん。20歳くらいで狩猟免許を取り、自分たちで猟に出るようになって実に30年。毎年冬は山でイノシシを狩る。見誠さんは、「自分たちにとって、この時期にイノシシを捕まえるというのは当たり前のこと」と話す。
 2月に狩猟期間が終わり、今年の成果をうかがった。ここ何年かは大きな台風があり、山の木の実などの餌が少なく、イノシシも少なかったが、今年は大きな台風がなかったため豊猟だったという。そして、イノシシの状態も、肉には脂がのりすごくいいものだったそうだ。

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