女優 吉本 多香美

震災後、石垣島に家族で移り住んだ吉本多香美さん。島での生活、多香美さんが感じる八重山の魅力などをうかがいました。

―どうして石垣島に

吉本 多香美(以下、吉本)
 震災の原発事故からの自主避難で石垣島に移住しました。事故があった次の日には、主人と息子と3人で東京を出ました。京都や沖縄本島で少し過ごし、主人の友人が石垣島にいて「おいで」と言ってくれている事もあって、4月のはじめに石垣島に来ました。自然の中で子育てがしたいという思いは、私たち夫婦ふたりとも以前からありました。石垣島は、仕事でもプライベートでも来た事があり、憧れの場所で、石垣島に住もうと決めました。来てすぐから、避難者支援団体の「ちむぐくる」さんに本当にお世話になっていて、とても心強いです。

―実際石垣島に住んで

吉本
 現在は北部地区に住んでいるんですが、お家に帰ると玄関に野菜がおいてあったり、近所のおじぃが「ぜんざい作ったから」って持ってきてくれたり、本当にあたたかいところだなぁって実感しています。毎日必ず息子とふたりで近くの海に行っています。自然が子どものおもちゃになっていて、こんなに贅沢な事はないと思います。2歳の息子もそうですけど、自分も、心も体も生き生きしていると感じます。
「世界ふしぎ発見」のレポーターをしていたこともあり、これまで70カ国ほど訪れ、様々な土地をみてきました。こんなに素晴らしい自然の中で生活ができる場所というのは、世界中でも実はそんなに多くないんですよね。ここは、海の恵みも山の恵みもあるし、文化もとても豊かで、本当に世界に誇れる宝の島だと思います。
  そんな中、3月に震災のガレキ受け入れの話がでてきて、避難者のお母さんたちで会を結成して、安全性が立証されていないガレキは受け入れてもらわないように議員さんに働きかけをしました。素直にこの島が大好きですし、このきれいな島を守りたいです。八重山は「命の力を高めて命を育む島」だと思うんです。だから、子どもを受け入れたりという支援のできる島になったらいいなと思います。私も今年の夏に、知り合いの親子2組を受け入れる予定です。

―これからは

吉本
 島の文化にとっても興味があるので、今年は豊年祭もみてみたいし、三線も習いたいなと思っています。去年はハーリーにも出させていただきました。アンガマもみたし、とぅばらーま大会にも行きました。息子もアンガマやエイサーを食い入るようにみていました。
  私はずっと芸能の仕事に携わってきましたが、島の人たちはみんな芸がすごくて、とても勉強になります。今でも仕事のお話をいただいているのですが、息子が小さいので、今はお断りをしています。住民票も移しましたし、ここで子育てをしながら暮らしていきたいと思っています。今少しだけ野菜づくりをしているのですが、自給自足を目指して、これから集落のおじぃおばぁに教わりながら勉強していきたいです。

吉本 多香美吉本 多香美(よしもと たかみ)プロフィール

1971年生まれ。埼玉県出身。数々のテレビドラマ、映画に出演。代表作は「ウルトラマンティガ」のレナ隊員役。15歳の時に家族で1ヵ月半アフリカのケニアでキャンプ生活をしてから、アウトドア好きに。月刊のアウトドア雑誌「ガルヴィ」で「島の裸んぼ日記」を連載中。

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